その3


こっちに来た経緯を聞いた。


4人は旅の途中に一行を狙う妖怪と戦っている最中、突然何かに吸い込まれたらしい。

妖怪が開いた四角の薄い本のような物が光って、目を開けたらこの部屋にいたと言う。












「う〜ん…
まぁ貴方達になら有り得る話っちゃ有り得る話か…」


「しかしここは"日本"だと仰いましたよね?
それは一体…」


「国だよ国。
貴方達は海の遥か向こうの人
時代も次元も違うんだけどさ…」


「どーゆ事だよそりゃ」


「まぁ今はいいじゃん。
とりあえずさ…」


「あ?靴は脱いだだろうが」


「ちと写メらして。」


「「「「は?」」」」















りかはスマフォを取り出し、ここぞとばかりに写メを撮りまくった。
この時ばかりは禁煙と言ったにも関わらず写メの為にペットボトルを灰皿にして喫煙を許した。


最初は『なんでだよ』
と不満を言っていたが、人の部屋に不法侵入と言う犯罪を犯す坊主を黙っていてやろう。
と脅迫…ごほんごほん、交渉により、三蔵ですら黙って従ったのだ。


そして小一時間程、あらゆるポーズを取らせて写メると、満足そうに携帯をしまった。















「いやーすまんね!
あざーす!」


「あざーす?」


「あ(りがとうご)ざいま(す)って事だよ。悟空君。
これで君たちが来てくれた事に心残りはないわー」


「ってもよー…」


「どうやって帰るんだ?なぁ三蔵」


「俺に聞くな」


「え……?」


「帰る方法が分からないんですよね。これが」


「いや、帰れ。
っつーか無理だから。
下に親いんのにいきなり現れた野郎4人をどうやって親が納得すると思ってんの?
ないわー。いや、ないわー。
あ、大事な事なんで2度言いました」


「俺が説明してやる。
最高僧だ。納得するだろうが」


「いや、この世界じゃその肩書きマジ無意味なんで。」


「……チッ」


「いや、でも冗談は抜きにしても困りましたね…」


「そうだな」















この世界について、この4人は右も左も分からない。
その上、りかの家に居座り続ける事は普通に考えれば不可能で…















「ちょ、ちょっとマテ。
マジで戻り方分かんないっての?
いつ戻るかも?」


「だから分からんと言っている。
茶おかわりだ」


「お、おう…」















つい三蔵のお茶の催促に素直にキッチンにお茶を淹れに降りる。
キッチンには母親が夕飯の用意をしていたのだが。















「ねぇりか。
何か騒がしいけど誰か来てるの?」


「え、あ、うん。」


「あまり騒がないでね。
ご近所迷惑になるし。」


「ンなの分かってるっつーの。」


「あら、珍しいお茶なんて」


「いいからほっといてくんね?
あ、今日友達泊まるけど部屋来ないで」


「またそんな言い方して!
今日お父さん遅いからメールで伝えておくけど、お布団足りるの?」


「自分でやるからいいから。
後部屋で飯食うから用意だけお願い」


「はいはい。
何度も言うけど静かにね」


「わかってるっつーの!」















不満を言いながら再び部屋へと戻れば、4人が部屋の中をウロウロとしていて…















「おいコラ!
女の部屋をガサ入れすんな!」


「色々見た事ねーのあるからさー
なぁ、これなーに?」


「それはTVっしょ」


「てれび?なにそれ」


「ホラ」















とスイッチを入れれば丁度ニュースの時間で、どこぞの国の戦争の事が報道されている。















「なッ…!?」


「三蔵!!」


「如意棒ッ!!」


「敵かァ!?」


「まーてまてまて!!
武器しまえ!
これは映像だ映像。出て来ないし、絵が動いてる物だと思えばいいから」


「なんだと?」


「銃を向けんな!」















4人は納得の行かない雰囲気の中各自武器をしまって、淹れ直したお茶を飲む。
今日は泊めれる事を伝えれば、安堵した表情を浮かべながら寛ぎ出す。















「とりあえず騒がないで。
男だって言ってないし…」


「分かりました。ね?
悟空、悟浄?」


「なんで俺達なんだよ!」


「いつも悟浄のせいだろー!」


「すでにうるせーよ!」


「てめえがうるせえんだよ」















前途多難である…。






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