その9


夜中は静かな物だった。
デスクのライトのみで4人の履歴書を書いているりか、部屋に敷かれた布団に眠る4人。

たまに聞こえる寝言に『おふっww』となりつつも、偽造した履歴書は違和感のない履歴書として出来上がったのだった。















「これでどうにかなるかァ…」















4人分の履歴書を眺め、りかはやれやれと時計と見れば既に4時を指していた。















「うわ…ないわー…」















小さな溜息は誰にも聞こえない物と思っていた。
と、その時、モソリ…と布団の擦れる音がした。















「終わったのか」


「あれ、起きてたの?」















起き上がったのは三蔵で、インナーのみの黒い服にはドキッとした。
だが、そんなのも気にもしないのか、三蔵は近寄り履歴書を覗き込んだ。
















「何と書いてある」


「あー言葉違うから読めない?」


「漢字だけなら問題はねェがな」


「なるほど。
まぁこれに書いてるので聞かれる内容は早々ないし、気にしないでも大丈夫。
朝になったら服買ったり面接の予約したりで忙しいから、ゆっくり休んだ方がいいよ?」


「フン。
貴様に言われるまでもねえんだよ。」















そんな事を言いつつも、三蔵は何故か布団に入る気配を見せない。
何か言いたい事でもあるのだろうか…















「何か話でもあんの?」


「…何故お前は訳も分からん俺たちの面倒を見る」


「んあ?
ンなの本あるので分かんでしょ?」


「あ?」


「あんたら4人が好きだから。そんだけでしょーが。
あの本を見て何人の女が4人に惚れたと思ってんの?
まぁ、現実感ないけど…こうやって目の前に現れて触れて…」















イスをクルリをデスクから三蔵に向け、手を伸ばして三蔵の腹部に手の平を当てた。





あったかい。





あーこれってリアルなんだな
なんて思ってしまって…
















「気安く触るな」


「"らしい"言い方!
ん、でも言えるのは…」















イスから立ち上がって背伸びをする。















「三蔵のファンっていつ言うの?今でしょ。」


「…お前の言葉は本当に分からん」









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