拾五



――三蔵一行













山を登りきった三蔵一行を待ち構えていたのは妖怪ご一行様。

崖の途中とは違い、足場が確保出来る場所での戦闘に、悟空は妖怪の攻撃を如意棒でガードし、ニヤリッと笑った。

















「――――っと。
ここなら広くてイイや。
かかって来れば?」















何十人と言う妖怪の群れは、一気に悟空を囲み
飛び掛かって来るが、次々と苦痛の声を上げて妖怪は倒れて行く。


そんな悟空に向かって行く妖怪を切り刻むのは、悟浄の錫月杖が空を切った。

















「――オイオイ
悟空ばっかモテんのは気に食わねえな」


「…野郎にモテても嬉しかねぇだろ」


「あら、なら妖怪の女性大歓迎って宣伝すれば?」


「妬きもちか。
馬鹿も休み休み言いやがれ」


「嫉妬心で八つ裂きなんて火サスもビックリですよねぇ」


「丁度崖っぷちだし?
悟浄が主人公を追い詰めて捕まるシナリオかしら?」


「今すぐ捕まってろ。
世界は平和になる」


「……っつーか最近ッ
モテ過ぎちゃって困るんだって……!!」















殆どの妖怪が床に倒れ
やっと一息付けた。














「そーそー
ちょっと進むごとに告られてるもんな、俺ら。」


「丁重にお断りしてもしつこく追い掛けて来ますしねぇ」


「…ストーカーってんだ、そーゆーのは」


「人生には必ず三回は『モテ期』があるらしいですよ」


「あ、聞いた事ある。
数人に言い寄られる時期があるって」


「ええッ
その貴重な一回が今なん!?」


「はッ
俺なんざ万年モテ期だからどーでも……あ?」














そんな悟浄に影が差した。
空を見上げたら無数の鳥が集まって来たのだった…


















「な…
なんだァ!?」


「チッ!
――――!?」


















即座に三蔵は鳥へと銃口を向けるのだが、鳥達はそんな三蔵に気も止めずに地へと降り立ち

倒した妖怪達の躯を鳴きながら啄み始めた。

















「な、何?
まさかこの鳥達……」


「うげ……コイツら…ッ」


「妖怪を食ってやがる……!」







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