拾弐


「落としたり敵に取られたりしたらブン殴るかんな!!」


「勝手ぬかしてんじゃねーよ
バカ猿!!ほとんどテメェの食う分じゃねーか」


「…まあ敵さんが欲しいのは食料よりも、三蔵の経文だと思いますけどね――」


「三蔵は大人気だから、ホント妬きもちが耐えないわよ」


「だって食料は俺ら皆のモンじゃん?」


「自分の命は自分で守れ……ってなァ」


「―――フン
言われるまでもねえ」












三蔵の銃声と共に、最後の妖怪は崖下へとまっ逆さまに墜ちて行った。



やっと一息と、悟空が持つリュックの中身が気になると
中身を確認する事となった。













「――――っ
やけに重いと思ったら余計なモンいっぱい入ってんじゃねーーか」














開けたリュックには、食料以外にもトランプやら雑誌などの雑貨も混じっている。


その中に、三蔵の金冠が無造作に入っていて…













「あ、三蔵の金冠。
あまり被ってるの見ないね」


「三蔵、この金冠いらないんなら、もー捨てれば?」


「いらなかねーーよッ
馬鹿か!」


「そうか最近アレかぶってねェと思ったら、頭が蒸れて薄くなっ……うおッ!!?」
















ガウン ガウン














「三蔵ッ…
まさかホントに髪が?」


「ンな訳あるか!」


「〜〜今のは完っっ全にてめェだよなクソ坊主!!?」


「ああ俺だ。
俺なら何だってんだ
このクサレゴキブリ河童」














そんな2人のやり取りの最中も西へと進むべく、もうすぐ山頂のようで
先陣を切る八戒が振り返りながら声を上げる。














「ほら皆さん
もう頂上ですよーー」


「やっと着くね」


「マジ?」















登りきった風景に、2人も口を閉ざし
三蔵は取り上げた金冠を頭に被せた。















「―――うわ
すっげーーー!!」


「綺麗な夕日ね。
大きな太陽…」


「……今からここを降りるってか」


「そーゆー事言わないで下さい。」
















夕日はとても綺麗で大きく
この先に待ち構える不穏を予兆しているかのようだった―――







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