七拾参


「何やってンだよ惷香!
俺達が分からないのかよッ!」


「無駄ですよ悟空
今惷香が見えている世界は僕達は敵であり
最愛の人はあの…
不愉快極まりない彼なのですからね」









顔では笑いながら八戒の目の奥が怒りで震えている




黙ったままタバコを吸う悟浄は静かなる怒りを露にしていた








「どけ…」









三蔵の低く怒りの籠る声が地を這いながら惷香に向けられる




何故愛する女と対峙しなければならないのか―――








「どく訳には行きません
彼に刄を向けるならば私は貴方を倒すまで…!」









シュルシュル…










惷香の金糸が無数に舞う









「はぁッ!」









金糸が三蔵目掛けて絡みに掛かる









「三蔵ッ!」









ドサリ…









悟空は間一髪三蔵を押し倒した











「三蔵!
何やってンだよ!」


「すまん
助かった…」


「三蔵…」









少し離れた位置で紅孩児は様子を伺っていた








「紅孩児様ッ!
どうなさいますか?
あのままでは惷香さんは…」


「分かっている」









紅孩児はチラッと耳賈を見ると

耳賈は高見の見物


ニヤニヤと笑いながら見つめていた









「気に入らんな」









惷香はその間も三蔵に何度も攻撃を仕掛ける



三蔵はギリギリながらにも惷香の攻撃を避ける





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