拾五
「おい
どうした」
首元の冷や汗を手で拭う惷香を見据えて三蔵はタバコの煙を吐く
「あ…いや…変な夢を…」
三蔵から無意識に視線を逸らす
「お前…」
三蔵が惷香に問おうとした時
外で雪を踏みしめる音が近寄る音がした
「お前ら奥に入ってろ」
入り口の布を切り裂き入って来たのは麓の村の人間だった
妖怪が近くに住んでいるだけで人間には脅威で
この土地から出て行かないならば死んで貰うしかないと
人間達は武器を振り上げた
そんな人間達を制止したのは
三蔵だった―――
そんな中1人の妖怪の子供が
ガタガタと震えていたのを
三蔵一行は気にもならなかった
それから耶雲にお返しにと
薪割りなど手伝い子供達と遊んだ
そんな時いくつかの墓が目に止まり
耶雲に誰に殺されたのか聞いたが
耶雲はただ
悲しそうに笑った――
夜になって吹雪になった景色を見ていたら 1人の妖怪の子供がいなくなった
そんな話になり
耶雲は真顔で銃を片手に吹雪の外へと出て行った
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