拾弐


朝食を済ませジープに荷物を積み終えると
5人を乗せ再び西へと走り始めた



ジープに揺られながらも
惷香は本の事が気がかりで


悟浄と悟空のいつもの喧嘩にも
止める事もしないまま


景色は段々と山へと変貌した








「もう少し進むと雪が積もった地域に出ますからね
皆さん凍えない様に防寒だけはして下さいね」


「マジかよ
ごじょさん寒いの苦手
惷香にあっためてもらお
抱き締め…」









カチャリ―…









「てめェ自体を冷たくしてやろう」


「何かすみません…」








そんなやり取りにすら惷香は反応を示さず


ボンヤリと俯いたままだった






八戒が言う通り景色は段々と寂しさを増し

チラチラと雪が降り始めた



山奥に進むにつれて
ジープでの移動も困難になり

徒歩で山を登り始める事となったのだが 念の為にと
全員全身を覆う布の様なローブで全身をくるんだ



足音は徐々に土や砂場から
ギシッギシッと雪を踏みしめる音になった時には


周りが真っ白になる程の豪雪となっていた








ボスッ ボスッ―…









「…寒ッ。」


「寒いですねぇ」


「寒いーーー!!」


「うるせえ」


「息が白いね」









突然の吹雪の中で悟浄は村か宿はないかと左右を見渡した









「この山に人は住んでないと聞きましたけどね」


「住めねぇだろ
こんな土地」








そんな会話中足元に突然









ザスッ―――!!









弓矢が降って来た






.


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