拾
朝早く惷香は旅に備えて荷物整理をしていた
手荷物のバックの中から
この世界に来たキッカケの本が指先に当たった
惷香は小さく
「あ…」
と呟き本をバックから取り出して手に取った
「この本を買ったのも
もう1年も前になるのかぁ…」
惷香はパラッとページを捲る
「なっ…?!」
惷香は驚き本をドサッと床に落とした
この世界に来たキッカケの本
この世界に来た時には真っ白になっていた筈の本
その中に赤い文字が描かれていた
『待っていた 惷香…
来ると思ったいた
もうすぐ…もうすぐ
会えるよ…』「な…に…これ…」
誰かの悪戯書き?
だがバックの底に入っていた本を誰かが取り出し
元に戻すなんて不可能に近い…
惷香は背中に嫌な汗が流れたのを感じながら
再び本をバックの奥底に潜らせた
.
[ 12/430 ][*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る