夢現・九


「んんッ――――!!?」








顔を左右に逃げようとするのを


ムリヤリ抑えた






足を動かし
手を動かし


どうにか逃げようとする惷香の唇をゆっくりと解放した








「ッつ―――…」









惷香の目からは涙が溢れた








「何故泣く…」









惷香はただ涙をとめどなく流し
俺はそのまま彼女を解放した





惷香はそのまま部屋から出て行くと

















500年




俺は惷香に逢えなくなった――






惷香は金蝉童子達と


謀反を起こし下界へのゲートに向かったと聞いたのは



惷香の涙を見た2日後だった







俺はゲートに向かい


惷香が倒れ

金蝉童子と孫悟空がゲートへと走る姿を見た…






俺の愛した女は



俺が抱き起こした時に








「金…蝉待っ…」









とだけ呟いた…
















俺は生まれて初めて泣いた…

















そして500年後


俺は彼女を探し出した




もう二度と泣かせはしない




もう二度と金蝉には渡さない




そう誓い
俺は天界から地上に






堕ちたのだ――……






夢現・fin

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