夢現・四


天界の建物の外にフラリと出た





これが自由―――




地下牢といる時と


何ら変わらない…





ただ広くなっただけで



俺の【枷】は外れはしない――





手枷をジャラリ…



と鎖が音を鳴らせ



俺はぼんやりと立ち尽くしていた…























ドン――…








何かが俺の背中にぶつかった




振り返ると白衣の女が地面に座っていた





女は自分の鼻をさすりながら


慌てて立ち上がり









「ごめんなさい
よそ見していたもので…」








と謝った――









「ごめんなさい…?
何故俺に謝る」


「悪いのは私ですから…」


「悪い…?
それはお前の罪か?」


「罪…?
そう…なるんでしょうか…
なら私の罪はアナタにぶつかった事なのでしょうね」









女は困った様にクスッと笑った






罪――




俺は何の罪があるのだと言うのだろう…





女は黙った俺を覗き込んだ









「何だ…?」


「いえ、怪我でもしたか心配で
もしどこか怪我をしていたら言って下さいね
これでも医師なので」








女はニコッと笑った




俺はこの女が不思議だった




何故俺に謝り


俺を心配する…







.



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