五拾九


西に向かう途中
異変を感じたのは悟空だった








「どうした悟空?」

「いや……
なんかさっきから変なニオイがする」


「!?
ちょっと…皆
あれを……!」


「―――おい
何だよコレ……」

「ッ……!
これ全部妖怪なの?」








視線の先には無数の妖怪の骸
身体には無数の札――



その先の宿屋に着いた頃にはすでに雨が降り出していた








「…やっぱり
あと一歩間に合いませんでしたね」








タオルを持ち
体を拭き終わった八戒が雷に喜ぶ悟空の頭を母親の様に拭いてあげていた






ゴロゴロ……









「ひゃッ!!」


「何だ今の声は」


「えーっと…惷香の様ですね」










ピカッ!!









「ぎゃッ!!」


「えー何々?
惷香は雷ダメなの?
おもっしれーのに」


「ど、どこが面白いのッ」


「ならどこが怖いってーんだ」


「いーじゃんいーじゃん
オンナノコらしいっつーかさァ
俺に抱き付いちゃってもいーんだよ?」


「馬鹿言ってんじゃねーよ
馬鹿河童」









コンコン









「温かいお茶お持ちしましたー」


「あ ども」


「災難でしたねェ急に空荒れちゃって
でもしばらく続くみたいですよ雨」


「ゲェー…マジかよ」


「――ちょっと
ここに来る途中妖怪の死体と大量に出くわしたんだが……?」








宿屋の店員によれば【六道】と呼ばれる坊さんがいて
身体中に札を貼り
妖怪を退治する旅をしていて彼の従布にかかれば
いかなる妖怪も滅すると言う凄まじい力を持った法力僧だと言う

その話を聞いてからと言う物
三蔵は黙って窓の外を見上げた









「三蔵?」


「あ いや
なんでもない」








.

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