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○苦笑い×照れ笑い


あれからまた休み時間に衣装のことで集まった俺たち。俺は遠慮したが、今はマリカの王子役衣装の合わせをしていた。
これも白雪姫のドレスに負けないくらいに気合いを入れて作られていて、なんつーか、本当に絵本の世界から出てきたみたいだった。きっとこの学校の歴代製作衣装たちの中でもトップクラスなんじゃないかと思うほど。


「マリカかっこいいじゃん」

『マジでか』

「うん。ボリスも可愛かったからきっとお似合「だー言うんじゃねー!」……いいじゃない」


マリカの王子っぷりを見て、余計なことを言いそうになったコプチェフを慌てて止める。つかもうほとんど言っちまってるから無駄なんだけどな。わかってるけど、いつも止めずにはいられねぇんだよな。
……それだけこいつがいっつも余計なことばっかりしやがるってことか。


「っとにてめぇは……」

「本当の事なんだからよくない?」


よくねぇ、と悪態をついた俺だったが、確かにマリカの王子は様になっていた。ありがちな白タイツじゃないのはおそらくマリカの要望だろう。俺の時はかわいいフリフリのドレスにしたくせに。贔屓だ。
そんなことを考えていると廊下の方からきゃぴきゃぴした明るい声が聞こえてきて、その声を発していた女子共によってドアが開けられた。


「マリカいるー?」

「あっ、マリカかっこいいー!」

「王子様ぁお城に連れ帰って!」


いきなり入ってくるやいなやマリカを取り囲んで冗談混じりに騒ぎ出す女子3名。ほんと、こういうので盛り上がるの好きだよな。
次々と響く黄色い声。うるせぇったらないぜ。マジで、どこをどうしたらそんな高ぇ声が出んだよ。
と、ここでコプチェフがまたしても余計なことを言うもんだから女子共がさらにはしゃぎ出してしまう。いい加減これは宿命か……


「ボリス可愛かったんだって?」

「お似合いなんじゃん?」

「そのまま結婚しちゃうとか?」


妄想に突っ走りキャーキャーと騒ぎまくる女子共、苦笑いの俺とマリカ。
いや、もうここは苦笑いしかないだろ。キレネンコなんか騒がしくなってからというもの不機嫌顔を隠しもしていなかったが、結婚というワードが出てからはもはや殺人鬼のような形相だ。その証拠にさっきから一言もしゃべってねぇ。いや、むしろ女子共が来る以前から機嫌が悪かったのかもしれねぇが……。


「マリカもボリスも照れなくていいのにー」

「実は仲いいよね!」

「あはは。ケンカップルとか!」


ヤバーイ! と騒ぐ女子共。お前らは恋ばなしかできねぇのか。
つかヤバいのはお前らの頭だろ! これは……苦笑いであって、断じて照れ笑いではない!
そう心の中で抗議するも、女子共に届くわけがなく、結局俺たちは休み時間が終わるまでこの声高キャーキャー地獄を味わうはめになるのだった。





(早く本番にならないかなー!)
(ねー!)
((俺、大丈夫かな……))

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