「ただいま」
「おかえりー」
「……」
「ん?どした?そんなところでつっ立って」
「いや、どうしたもこうしたもねーだろ。なんで俺の家におまえが来てんだよ」
「あ、俺もおるでー」
「おまえもかよ!って、そーゆー問題じゃねえ!」
「ちゅーかギル、誰もおらんのにちゃんとただいまとか言うんやな」
「防犯対策する女の子みたい」
「うるせぇ、実家にいた頃の名残だ」
「まぁまぁ、とりあえず上がりなよ。寒いでしょ」
「おいちゃっかり家主づらすんな」
「もー、何そんなにカリカリしとるん?」
「おまえらのせいだろうが!だいたい、カギはどうした」
「おまえの良く出来た弟くんの協力により」
「くっ……ヴェスト、余計なことを」
「素直でええ子やん」
「そりゃあ、なんつったってこの俺様が育てたんだからな!おまえのとこの子分よりは素直だぜ」
「……喧嘩売っとるん?」
「はいはいストップ。アントーニョ、今日が何の日か忘れちゃだめよ」
「ああ、せやな。せっかくここまでしたもんな」
「今日……?」
「あれ?」
「なんや、肝心の主役が忘れてんのとちゃう?」
「やだ、俺よりだいぶ若いのに」
「なんだよさっきから。今日がなんだっていうんだよ」
「うっそ、マジで」
「この顔はマジだわ」
「だから早く言えよ」
「じゃあ、ほら、アントーニョ、おまえが」
「え、フランシスが言ってや」
「俺!?いやだなんか恥ずかしいもん」
「せやかて、提案したのおまえやろ」
「さっさとしろよ髭」
「ひ、ひどいギル!俺こんなに頑張ったのに!」
「頑張った?何の話だ」
「ああもう、しゃあないなあ。ま、部屋行こうや」
「じゃあドア開ける瞬間にせーの、で!」
「はいはいわかったわかった、いくで、せーの!」
「「誕生日おめでとー!!」」
「……」
「……あらら、かたまっちゃった?」
「なあ、もうちょっとマシなリアクションしようや」
「いや、びっくりした、マジで」
「料理はもちろんフランシスやで。酒とトマトは俺んちから」
「食後にはケーキもあるからね」
「そっか…俺、今日誕生日か」
「自分の誕生日忘れるとか信じられないな」
「それはおまえが自分大好きだからやろ。俺かて忘れたことあんで」
「おまえらもしかして揃っておバカ?」
「あ……」
「ん?どうしたギル」
「あ、あのよぉ!」
「なんや?」
「あ…ありがと、な」
「……」
「……」
「……なんか反応しろよ」
「いやあ、だってねぇ」
「見とるだけでおもろいもん。おまえ今、耳まで真っ赤やで」
「!」
「かーわいいー!俺、今ならギルに喰われてもいいっ」
「きもっ……」
「なんでマジレスすんの!ね、どう?プレゼントは俺☆みたいな」
「……」
「……」
「あ、やめて!ギルちゃんはともかく、アントーニョまでその目はやめて!」
「ふざけるのは、大概にしような。ほら、はよせんと冷めてまうで。食べよ!」
「もー、2人ともつれないなぁ」
「わかったよ。じゃあ、これ食ったらお言葉に甘えさせてもらうわ」
「心配せんでもたっぷりかわいがったるで」
「……ん!?」
「だって、冗談じゃないんだろ」
「おまえが言い出したんやで」
「あれ、ほら、言葉にはあやというものが…」
「楽しみにしてるぜ、フランシス」
「俺も混ぜたってな」
「ええーっと……とりあえず食べよっか」



親父!祝ってくれ!
(ギルちゃんおめでとう)




(2011/01/18)
どれが誰のセリフかわかったかな?

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