何百年も前からずっと喧嘩ばっかだった。
口喧嘩はもちろん、体張った喧嘩もしょっちゅう。

俺はそれでもよかったんだ。別に仲良くしたいなんて望んでない。
実際今でも仲は良くない。

じゃあなんでこんなことしてるんだろうな。

「フランシス、俺もう疲れた」

早く寝たい、ってこぼしたけど奴の耳には届いていないんだろう。

「ゃ…ん、あ」

フランシスは我慢が出来ないのか、自らの股間にその右手を伸ばした。
ゆるゆると扱き始める姿を、俺はぼんやり見ていたが、何の思いもわかなかった。

「はあ、アーサー…んっ」

もう、一回ヤったからいいじゃん。
そもそも野郎同士とか、普通じゃないし。

「あんっ」とか「やっ」とか、室内に嬌声が響くたびに、フランシスのソレは苦しそうに上を見上げる。
対照的に、俺は萎え切ったまま。
全く興奮しないのが奇妙なくらいだと思った。

「あ、あ、」

手の動きがどんどん加速していく。フランシスの声も激しくなる。
いつもよりもずっと高い声が脳に直接響いているような気がして、いらいらした。

「あーさあっ」

拒む間もなく、首に腕が回される。
そのまま首筋にねっとりとキスをされて、俺は思わず顔をしかめた。

「…んぁ」

嫌そうな顔をしたのは一瞬の話。油断した瞬間に声がもれてしまった。
どんなに平静を保ってみても結局、直接的な刺激にはかなわないというわけか。
快感を求めてしまう、なんて愚かな身体。

「…明日どうなっても知らねぇからな」

俺はため息ひとつついて、奴の唇を塞いでやった。



満たされないのは心が求めているから
(そうなの?)




(2009/11/27)
すごく…即物的です…

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