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「私は死んだ。虫食い腐ったスイーツ脳をぶちまけて、私は絶命したのだ。」
 そこまでノートに書き終えたところで先生が歩いてくる。やばい、と思って慌ててノートを閉じたら教科書が机からずり落ちた。先生は何事もなかったように通り過ぎ、私の二つ後ろの席の寝ている生徒を起こした。ふう、と胸をなで下ろし、教科書を拾った。
 続きを書こう、と再びノートを開く。しばらくして六限目終了のチャイムが鳴る。間抜けな響きのチャイムは生徒が椅子から立ち上がる音に一瞬かき消された。
 ノートや教科書をリュックに投げ入れ、帰りの支度を始める。今年の文化祭に出す作品はこれにしようか、と考えながら。



 ホームルームを終え、ざわつく教室の中で私は目の前にいる人物の「答え」を待っていた。彼の視線は私に合わせられることはなく、どうせダメだと思いながらも心の端に残ったほんの少しの希望を捨てられずにいた。
「ごめん」
 十秒間待って出た、聞き慣れてしまった答えにため息をつきたい気持ちをぐっとこらえる。彼は優しい性なのか、それからもいくらか弁解の言葉を述べていたが、どれも私の耳に入ってこなかった。
 これで今月に入って早くも十二人目だ。誰でもいいというわけではない。ちゃんと可能性のありそうな人を選んでいるのだが、今のところノー以外の答えをもらっていない。私には人を見る目がないのだろうか。ただ焦燥感だけが胸の内で渦巻いていた。


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