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――・・・ハンターさんは、その純血種が誰なのか、特定できていないけれど・・・私は知ってるの

紅まり亜の言葉が、気にかかる。あの映像を見た時から頭にひかっかって消えない、彼の笑顔が、彼の言葉が

『ありがとう』

耳に残って、なんだか切ない。泣きたくなってくる。どうして、どうして・・・?


「・・・おや、お嬢さん。ハンターなのかい?」

目の前に現れた紳士そうなヴァンパイアに視線をあげた。彼の口元にはうっすらと血の跡が残っていて、気持ち悪い。香りが漂ってくる。狂双剣を握り締めれば、息を吸い込む。先程理事長にまた狩ってこい、と言われ平日なのに街に繰り出された。零に言え、と言われたが、一人でくることにした。私も強くならないといけないんだ。

「・・・僕はまだお腹がいっぱいになってないんだ」

「好き勝手人間を襲って言いわけじゃないよ」

「君も・・・同じだろう?いつか僕みたいになるんだ」

にやりと笑ったヴァンパイアにぞくり、と背筋が凍りつく。こんな、ヴァンパイアになるんだろうか。人を襲って、喰らって、嫌だ。双剣を握り締めたとき、目の前からヴァンアイアの姿が消える。そして一瞬で目の前に現れたヴァンパイアの爪が振りかざされる。

「!」

「おやおや、もう少しだったのに」

とっさに避けたが、しっかりとその爪で腹の肉が少し引き裂かれていて、顔を歪める。立っていられない、痛い、痛い。自分の血の匂いが充満していて、気持ち悪い。





『ありがとう』






どうしてまた、彼の顔が思い浮かんだんだろう。ヴァンパイアはみんなレベルEみたいなヴァンパイアばかりじゃない。彼はちがかった、美しくて、繊細で・・・とても、綺麗な、心を思っていた・・・・・・


「っ・・・・・・お前みたいなのがいるからだ!!!!」

その瞬間双剣の鼓動を感じたような気がする。ビリビリとした感覚はもうなくて、私を受け入れているような、そんな感覚。そして勝手に体と腕が動くと、目の前のヴァンパイアを切り裂いていた


「・・・お前も、いつか、僕みたいに・・・なるんだ・・・」










そうだ、私も化け物

   

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