1/3 ――・・・ハンターさんは、その純血種が誰なのか、特定できていないけれど・・・私は知ってるの 紅まり亜の言葉が、気にかかる。あの映像を見た時から頭にひかっかって消えない、彼の笑顔が、彼の言葉が 『ありがとう』 耳に残って、なんだか切ない。泣きたくなってくる。どうして、どうして・・・? 「・・・おや、お嬢さん。ハンターなのかい?」 目の前に現れた紳士そうなヴァンパイアに視線をあげた。彼の口元にはうっすらと血の跡が残っていて、気持ち悪い。香りが漂ってくる。狂双剣を握り締めれば、息を吸い込む。先程理事長にまた狩ってこい、と言われ平日なのに街に繰り出された。零に言え、と言われたが、一人でくることにした。私も強くならないといけないんだ。 「・・・僕はまだお腹がいっぱいになってないんだ」 「好き勝手人間を襲って言いわけじゃないよ」 「君も・・・同じだろう?いつか僕みたいになるんだ」 にやりと笑ったヴァンパイアにぞくり、と背筋が凍りつく。こんな、ヴァンパイアになるんだろうか。人を襲って、喰らって、嫌だ。双剣を握り締めたとき、目の前からヴァンアイアの姿が消える。そして一瞬で目の前に現れたヴァンパイアの爪が振りかざされる。 「!」 「おやおや、もう少しだったのに」 とっさに避けたが、しっかりとその爪で腹の肉が少し引き裂かれていて、顔を歪める。立っていられない、痛い、痛い。自分の血の匂いが充満していて、気持ち悪い。 『ありがとう』 どうしてまた、彼の顔が思い浮かんだんだろう。ヴァンパイアはみんなレベルEみたいなヴァンパイアばかりじゃない。彼はちがかった、美しくて、繊細で・・・とても、綺麗な、心を思っていた・・・・・・ 「っ・・・・・・お前みたいなのがいるからだ!!!!」 その瞬間双剣の鼓動を感じたような気がする。ビリビリとした感覚はもうなくて、私を受け入れているような、そんな感覚。そして勝手に体と腕が動くと、目の前のヴァンパイアを切り裂いていた 「・・・お前も、いつか、僕みたいに・・・なるんだ・・・」 そうだ、私も化け物 [しおりを挟む] |