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海の見える街まで、フィンリルを走らせた。

流れる景色はだんだんと黄金色に染まっていく。
どれくらい、走っただろうか。

ようやくたどり着いた海から見える太陽がだんだんと沈んでいくのが見える。
一年に一回、必ず海を見に行こうと決めていた、
限定の場所ではなく、様々な海を見ようと

仕事が入っていても、投げ出してでもフィリンリルを走らせただろう。

ティファは仕方なさそうに、笑って許してくれた。


でも、海が見たかったわけじゃない。

「…馬鹿だな、いつまでたっても」

自分は馬鹿だと、実感する。どれくらいの時がたっていても、忘れることができない

忘れようとしても、頭にこびり付いた黄金の笑顔が消えてはくれない。



あの日も、同じように太陽が消えかかっていた、黄金色に照らされる海を、二人で並んで見ていた。

まだずっと若かった頃、世界が平和だと呼ばれていた頃。

「私ね、夢があるの」

彼女の声は心地よくて、優しかった。

耳に入ると、いくら苛立つっている体も、落ち着いてしまうほどに。

自分は、彼女に酔っていた、全てを、欲しいと思うぐらいに。

「NO NAMEの、夢?」

瞳を閉じて、NO NAMEは風を感じながら小さく笑う、風の香りでも感じているかのように時々可笑しそうに微笑む。

「ずっとクラウドと海を見ていたいな、って」

このとき、もっと素直になっていたら、今はどうなっていただろう。

NO NAMEに気持ちを伝えていれば、一緒にいられたのかもしれない。

まだ、時間はあると思っていたんだ。

だが、戦いは俺たちを引き裂いて、まるでこの時間がなかったことにされてしまったように

消えて、なくなった。


   

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