よそ見ばかり していないで。 「かわいいなぁ、あの子。」 タイプの女の子を見ると目で追う君。 「めっちゃ美人さぁ。服似合ってんなぁ。」 他の女の子のことばかり褒める君。 「あ、君。これ落としたさ。」 「え?あ、すいません。」 他の女の子にあたしの好きな笑顔を見せる君。 「可愛い子だったなぁ。あの胸触って見たかった〜。」 他の女の子の胸ばかり揉みたがる変態な君…。 あたしがそれをみて、どう思ってるか知ってる? どんな思いで君のとなりにいるのかわかる? 他の子に好きだなんて言わないでよ。 他の子にあの笑顔を見せないでよ。 「なぁみおー?」 「なに?」 少しキツく言ってしまい、後悔したけど、謝ることなんてできない。 「なに怒ってるんさ〜。笑ったほうが可愛いぜ?」 「嘘つき。」 こんなやり取り、もう何度しただろう。 嫌いだよ、こんなの。 素直に喜べないよ。 「そんな顔すんなって。逆に可愛いさ。」 「うるさい。」 自然と歩くスピードが上がってしまう。 やだ。いやなの。一応付き合ってるから、可愛いって言ってるんでしょ? 「きらい…。」 「マジで?」 ラビの声を聞いてハッとした。 口に出してしまった…。 突然ぐい、と手を引っ張られ、ひと気のない路地に連れてこられた。 ラビはあたしの手首を掴んだまま、あたしを壁に押し付けた。 「あ、えと…。」 「みお、オレのこと嫌いなんか?」 「そうじゃ…なくて…。」 「そうじゃなくて?」 「……。」 少し怖くなった。 真剣な瞳で見つめられて、目を逸らす。 「言ってみ?」 「…ラビ…手、痛い…。」 「言えば離してやるさ。」 あたしは俯いた。 好き、の二文字が言えない。 ああ、こんなに好きなのに。 こんなに愛おしくて、胸が苦しいのに。 目頭がジワリと熱くなる。 ぐ、と眉間に力をいれて、涙が流れないように我慢した。 「みお?」 「…き」 「き?」 「好き…。」 顔が熱い。きっと真っ赤に違いない。 恥ずかしくて顔をあげられない。 「目見て言って?」 「…。」 ふるふると首を横に動かす。 すると、ラビはあたしの顎に指を添え、くい、と自分のほうに向けた。 「言わせてやるさ。」 「んっ…んんっ」 突然キスで口を塞がれ、目を見開く。 そして、恥ずかしくて目をぎゅっと瞑った。 「…みお、目閉じんな。」 そう言われて、反射的に目を開いてしまう。 それと同時にまた口を塞がれ、目を閉じそうになる。 でも、ラビの瞳をみて、閉じたくないと思ってしまった。 色っぽい瞳であたしを見つめるラビに、胸がキュンとする。 「んっ…ふぁ、あっ」 唇を割って口内に侵入してくるラビの舌。 あたしはその舌に自分の舌を絡めた。 「…ぁ、ふぁ…んぅ…ら、び…んっ、好き…んあっ」 不意に漏れた好き。 ラビはそれを聞いて、唇を離した。 「ん、オレも好き。」 「…他の子に、可愛いとか言っちゃやだよ…。」 「ごめんな。みおに嫉妬されたかった。」 「したよ、いっぱい。バカ。」 「嬉しいさ。」 そういうと、触れるだけのキスを落とすラビ。 ぴく、と肩が揺れる。 「本当はな…愛してる。」 (目を見て好きっていえよ。) (あたしだけを見て好きっていってよ。) ******************************************** atogaki ずいぶん前からできていたものです。 強引なラビも好き(笑) 2012/12/11 ←Back |