【意味】親愛なる君へ
My dear,


「ただいまー…ってうお?!デカッ」
「あらティキ!おかえりなさい!」

クリスマス。
千年公に頼まれた仕事を終え屋敷に帰ると、エントランスでオレを出迎えたのは、アクマでもメイドでもない、オレの可愛い可愛いみおとそりゃあデカいクリスマスツリーだった。

ツリーに飾る雪の結晶の形をした飾りを手に、みおはオレに勢いよく抱き着いてくる。オレはその小さい身体を受け止め、「おう」と小さく微笑んだ。

「見て、ティキ、このツリー!千年公が買ってくれたのよ!私こんな大きなツリーみたの初めてだわ!」
嬉しそう頬を紅潮させてにぴょんぴょん跳ねるみおを見てほほえましく思う。
ああ、可愛い。可愛すぎるよみお。


「よかったな、みお。」
みおは俺と同じで、もともと孤児だった。
それを拾ったのは紛れもなくオレだし、千年公のところに連れてきたのもオレ。

みおのノアメモリーは「愛」。
「真実の愛」を司るメモリーらしい。
きっとオレらを引き会わせたのはノアのメモリーだ。
オレのノアメモリーの「快楽」と相性がいいらしい。

「んじゃオレは疲れたから寝r「だめよ!」
「は?」
「今日はクリスマスよ?」
「オレでもそれくらい知ってるよ?」
「それに……。い…、いいじゃない…今日くらい…。」

突然さみしそうな顔をしてうつむいたみお。
そんなにクリスマスって大事なのか?
ただのイベントじゃん。

「別にいいけど、なんで?」
「…≪なんで≫ですって?」

あれ、みおちゃん。なんか…怒ってます?
なんかすっごい黒いオーラが見えるんですけど。
もしかして地雷?
まずい、みおがキレたら…オレ死ぬ。屋敷もぶっ壊れる。
ヤバいぞこれ。ヤバすぎる。

みおの能力は「操作」。
この世の万物を「操作」することができる。
例えばものに触れなくても動かせたり、増やしたり。
もっと詳しくたとえると一本の槍が100本に増えて、それはみおの意のままに動く。
まぁ、ほら、見てみろ。
オレが隠し持ってたナイフとか勝手にみおの方に行くし。
要するにあれだ、万物を「操作」するんだよこいつは!


「死ねこの変態ドS学ナシ超超超馬鹿ティキ!!!」
「うおっ!?」

予想通り。
みおが能力で奪ったオレの持っていたナイフが、勢いよくオレの方に向かってくる。
誰も持ってないのにナイフが動くのは、みおが捜査しているから。


「ちょー!タンマ!待って待って!みお!おい!」
「なによ!くっだらないこと言ったらぶっ殺すわよ!」
「嘘だよ嘘!なんでとかいって悪かった!本当は覚えてるから!」

そういった瞬間、「操作」によって動いていたナイフはカラン、と床に落ちた。
そして、みおの表情から怒りが消える。

「ったく…忘れるわけねぇだろ。」
「…ホント?」
「部屋行って言おうとしたんだよ、二人っきりの時に。」

忘れるわけねぇだろ。
今日は、俺たちが出会って3回目のクリスマス。

「ほら。」
「…なによ、これ…。」
「まあ見てみろ。」
みおはオレから受け取った箱を開ける。


「…っ、ティキ…。これ…っ」
「学ナシのオレがちょー頑張って調べた花言葉と、婚約指輪な。」
「うそ…っ…」
ぽろぽろと涙を流すみお。

クリスマスプレゼントのつもりで用意した花と指輪。

「みお、こっちきて。」
オレが手を伸ばせば、素直にこっちにくるみお。
そんなみおがオレはたまらなくいとおしい。し、可愛い。

小さな体を抱きしめれば、少し頬を紅潮させる。
「結婚しよ、みお。」
「うん…っするっ!絶対にするわ…っ」

涙ながらに言うみおを強く抱きしめて、耳元でささやく。



「My dear,…Eu amo isto.」
「え?…後半分からない…。」
「いーの、恥ずかしいから。」
「はあぁああ!??!?!」



【Eu amo isto.】
(愛してる)



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またプロポーズネタ。
幾つか補足。
「My dear,」… 英語
「Eu amo isto.」… ポルトガル語
愛してるっていうの、恥ずかしかったから母国語で伝えたティキ(ヘタレ)

箱に入っていた花はマーガレットです。
花言葉は、「真実の愛」他にもいくつかあるけど。
気になったら調べてみてください(おい)
メモリーから探しました、がちでまんまの花言葉があったんで(笑)
最初はチューリップの鉢植えと指輪でした。


みおのメモリーの話ですが
単に「愛」ってつまらないから、「操作」の力を入れたんですが…
「好きになりなさいよ!」みたいな(?)
心をも操ってしまえ!って感じです。……できないけどね?


12/12/15







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