最初に自己紹介したのは、副部長である。彼女はふくよかな体つきで、髪型は御下げ、そして赤い眼鏡を掛けた、あの時私達に強烈なインパクトを与えた張本人である。

「始めまーす♪えー…み、じゃなかった…私は佐藤 実由(サトウミユ)です。副部長としてしっかり頑張っていきたいと思っています、宜しくお願いします」

にこやかだけど、副部長らしくハキハキと話すその姿に自然と拍手が起こる。流石だ。

次はあの時いなかった女子の先輩だ。緩やかなウェーブがかかったセミロングの髪に、クリクリとした目が特徴的で、更に背が低いため、とても可愛い。

「私は鈴木 京(スズキミヤコ)でーす♪色々と迷惑をかけっ…ウフフフッ…ちょっ…そこ、変な顔しないでアハハハハ」

どうやら、笑い上戸らしい。
鈴木先輩は何とか自己紹介を終わらせると、変顔をしていた2年生に、もう止めてよ、と笑いながら注意していた。

あ、次は私の番だ。
そう自覚した途端、私の緊張がピークを迎える。心臓は音を立てて胸を激しく叩く。苦しい。でも、やらないと。そう思った私は少し早口になりながら言った。

「関 花波(セキカナミ)です。えっと…3年間宜しくお願いします」

緊張で固くなっていたが、先輩方は暖かい拍手を送ってくれたので、心底ほっとした。

次は隣にいた朱音である。普段は自他共に認める不気味なオーラを漂わせているが、今回ばかりは緊張しているのがありありと伝わった。とても小さな声で話始める。

「た…滝本 朱音(タキモトアカネ)です。よっ…宜しくお願いします」

拍手と共にざわつく。それも無理はない。

「『滝本』ってまさか、滝本君の…」

「妹です」

朱音が少しにやにやしながら答えた。

実は、この部活には中3になる朱音の兄がいるのだ。朱音自身、この事も理由に入部した。つまり、彼女は相当なブラコンだ。本人は認めていないが。

滝本先輩への野次馬が落ち着いた後に自己紹介をしたのは、前髪をピンで止め、髪をサイドに一纏めにして束ねている、どことなく『お姉さん』の雰囲気を持つ先輩だ。

「桐谷 彩乃(キリタニアヤノ)です。3年生として頑張っていきたいと思います。宜しくお願いします」

因みに佐藤先輩に自己紹介の順番を提案したのはこの先輩である。

その次は1年生の女子2人だった。2人とも知らない人なので、正直かなり気になる。桐谷先輩の隣に座っている子は、ふんわりとしたショートヘアに目力のある大きな目をしている。鈴木先輩に匹敵するぐらい可愛い。一方、その隣の子は、前髪をぱっつんにしていて、後ろ髪を両サイドに括っている。黒縁の四角い眼鏡を掛けていて、至って普通の子のようだ。

「本田 美咲(ホンダミサキ)です。一生懸命頑張るので、宜しくお願いします」

なかなか頼りになりそうだ。少し安心した。

「えっとぉー…成岡姫香(ナルオカヒメカ)でぇーす♪先輩方に付いて来れるようにがんばりますっ」

………前言撤回、全然『普通の子』じゃなかった。先程の安心が消えた。

成岡さんに対する苦手意識が高まった頃、次の人が言い始めた。


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