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6/24 スタート
By 蓮嘩
2010/06/24
『キレーなんだから隠すなよ』
そのたった一言で自分の中の絶対が決まった。
チャイムと共に慌ただしく階段を駆け昇る音がそこから二つ離れた教室まで響いて、談笑が引き始めた教室がまたざわめく。
そのざわめきの七割が小さな笑いの固まりなのだが、恐らくその音の主は気付いていない。
さん、に、いち
勢いよく開いた教室の扉に肩で息をする少年が一人、いるだけで目立つ色彩を持つ少年は大きく深呼吸してにぱっと笑う。
パターン化した日常、タイミングすら覚えてしまったそれに見ない振りしても次にくる言葉に否応なしに巻き込まれてしまう。
「おっはよーシカマル!そして好きだー!!」
「朝からうるせぇーよ」
「えー、だってこれ言わなきゃ朝が始まんねーんだもん」
「迷惑」
「そんなシカマルも好きっ!」
こんなのが日常だなんて思いたくないが、その日常が両手を使う年数に最早諦めるしかない。
初夏に入り暑くなって来たにも関わらずベッタリと抱き着いてくるヒヨコ頭を押し退けて机に突っ伏す。
それでも諦めずに器用に抱き着いてくるその熱い位の体温にため息が出る。
「離れろ」
「いや」
「ナルト」
「‥はーい」
少しだけ低めに声を出せばアッサリと離れるナルト、目に見えて項垂れているのが分かるから余計にめんどくせぇ。
これも日常になっていたのだが、最近じゃナルトを庇護する女子共や面白がってナルトに加勢する野郎共が増えて収集がつかなくなる日も多々ある。
シカマル男じゃねーなとかそんな声が聞こえるが、そもそもナルトも男だっつーの。
ビー玉みたいなでっけぇ瞳をゆらゆらさせて叱られた犬みたいに懇願するナルトにまたため息が盛れた。
「とにかく席に戻れ」
「うん」
あーめんどくせぇ。
さっき迄の元気はどこに行ったよ。
そもそも自分の言葉に一喜一憂するナルトがキライになれなくて、つい絆されてしまうのがいけないのだが、ここまで意気消沈されると気まずさも手伝い声を掛けてしまう。
「‥それ、どーしたん?」
「へ?」
「頭のぼんぼんみたいなやつ」
「あっ、これ?これな、シカマルとお揃いにしたくて」
「はぁ?」
そんなものは着けた覚えがないのだが、嬉しそうにお揃いと笑うナルト。
何のことだと続きを促せば、ニシシと笑っておでこを指す。
「デコッパチがお揃いだってば!」
「殴んぞ」
「ッテェ!もう殴ったってば!!」
殴られた頭を抱えて唸るナルト、その拍子に結わえた小さな尻尾みたいな髪が揺れて思わず笑う、それにナルトが何と小首を傾げればその小さな髪が更に揺れる。
自分なら絶対着けないそのぼんぼんみたいな髪ゴムがナルトの髪色に合っていて、違和感ないのが更に笑えた。
「似合ってんよ」
「え?」
「なんつーか、バカっぽくてお前らしい」
「へへっ、シカマルもお揃い嬉しいの?」
「お揃いじゃねぇーし」
嫌味のつもりが誉められたと素直に受け取るナルト、だから勘弁してくれっての、そうあんまりにも真っ直ぐだと、絆される所かかわいいとか思ってしまう自分がイヤだ。
ニコニコ笑ってお揃いだと言い張るナルトに断じて違うと言い切れば、ならとポケットを漁りもう一つの髪ゴムを差し出して来た。
「いらねぇー!」
あぁ、くそっ、即座に拒否ればまた項垂れるヒヨコ頭がかわいく見えた。
しょんぼりと効果音を背負うその姿に勝手に動いた手は引ったくる様にその髪ゴムを奪っていた。
「いちおー貰っとく」
「シカマルー!!」
「うおっ、だから抱き着くなっつーの」
「好き、好きだってばシカマル!」
「へいへい」
その気恥ずかしいやり取りに気付いたのは、いつの間にか来ていた担任の咳払い、見渡せばニヤニヤ顔のクラスメート達がいた。
◇◇◇
とりあえずざっくりと発車してみました(笑)
肝心な事に何も触れてないけどね!学ランなのかブレザーなのかも何も触れてませんぜ←
そして、お茶さんへバトンタッチ☆
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