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By 壱子
2010/07/15



時間が経った、とはいってもまだ生徒達が登校するには早い時間だからか、生徒の影は見当たらない。それどころか、人影の一つすら見えなくて、まるでこの広い学校に目の前を歩くカカシと二人きりのような錯覚が襲ってくる。

「(二人、じゃねぇ、な)」

ふど、今しがた教室に残してきた人物を思い出して、右手の人差し指、中指、薬指と立てていく。きっと音が聞こえないだけでそれ以上の人数は確実にいるのだけど、それを考えるにはまだ覚醒しきらない頭は拒否を示した。
ぼんやりと下らないことを考えていればすぐに見慣れた社会科準備室にたどり着いた。
いつもは隣接した教室から入るのだけど、今日は周りに人の目はない。促されるまま教室に入って、背後で閉まる扉に浅く息をついた。

「なぁ、」

「うん?」

「好きってなに?なんで俺なの」

ナルトに問い掛けた言葉をそのままカカシへと送る。
本当に手伝うことがあったのか、机の上の書類に目を落としていたカカシがいきなり何、と言わんばかりに薄く苦笑いを浮かべてこちらを向いたのを見て、また答えはないのかと、少しばかり目を細めた。

「…なんでシカマルくんだったのかはわかんないし、数学みたいに答えはこれですってのは示せないけどねぇ」

「わかんねぇの?」

「そりゃわかんないよ?恋なんてするものじゃないでしょ」

「…は?」

恋はするもの以外に一体何があるのだろうか。疑問をありありと浮かべて見れば曖昧に笑ってごまかすだけだ。この辺りで目の前にいる人が大人なのだと知る。ずるい、大人だ。

「誰かを好きになれば意味は分かるよ」

「今知りてぇんだけど」

「そう急ぎなさんな」

「わかんねぇのは気持ちワリィんだよ」

眉間にシワを盛大に寄せながらそう呟けば、ようやくこちらに意識を向けてくれるつもりになったようで、書類を纏めていたカカシの手が止まる。
いまさらながら自分の発言がかなり子供っぽいことに気がつきながらもどうすることも出来ず、それを隠すように少しばかり視線を逸らした。
トン、とカカシが纏めた書類が机を打つ音がして、視界の端で影が動く。

「好きでもない子に触れたいとは思わないよ」

「あ?」

「それが最大のヒントかな?」

「意味わかんねぇ」

「好きなんて、最初は直情的なものからだよ」

じゃあ、これ。と、手渡されたプリントを最後にカカシから解答が得られることもなく、仕方なく告げられた言葉の意味を考えながらその場を後にした。

シンと静まり返った廊下はどこか寂しいような気もしつつ、未だ回り切らない頭でぼんやりと言葉の意味を思い返す。
答えの出ない考えは得意ではない。ぐるぐると頭の中で渦巻くそれに思わず声を上げそうになって、不意に後ろから掛けられた声に足を止めた。





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あんまりかきまわせなかった…(´◇`)


壱子のターン!
リバースカードオープン!お茶にダイレクトアタック!ドーン!


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