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By お茶
2010/07/14
好きって何?
言葉にしようとすれば声帯を締め付けられたように出てこない。
呼んでくれる口が好きとか、ぐしゃぐしゃと撫でてくれる手が好きだとかウンザリとしながらも自分を捉えてくれる瞳が好きだとか。そういうのもあるけれどそういうのじゃなくてもっと根底にあるもの。
ずっと一緒に居たいとか触れていたいとか。
そういう曖昧なものだから。
俺の言葉に何か言いかけていたナルトは、しかし動くことを忘れてしまったかのように微動だにもしない。ただ、端から見て分かるくらいその顔面は蒼白で、起き上がったときに見た血色の良すぎる顔色からは程遠いものだった。
こいつ大丈夫なのかと思いながらも、頭の片隅はどんどん冷めていく。
まるで玩具を取られまいとするような、子どもじみた幼い感情。バカカシに言われて真剣に考えてはみたものの、どう頑張ってもただの戯れにしか思えない。
そんな想いを抱えたまま、何となくな直感をもって、らしくない早起きをして登校してみれば案の定といったところで。
(ったく、やりづれぇなぁ。)
昨日まであんなに好き好き言ってたくせに、いざその本質的なことを聞けば黙り込んでしまう。
(ほら、所詮そんなもんだろ。)
ナルトも俺も黙ったまま。ぬたりとしたおかしいくらいの沈黙が、間を阻むように横たわっているみたいだった。
ガラガラ…。
どのくらいそのままでいたのか、静かな教室に響いたのはドアの滑車が滑る音。特に耳障りでないそれに曇っていた意識がクリアになる。
ふと、視界に入った人物にあぁまた面倒なことになったななんてくだらないことを考えて。
「あらま、二人とも早いんだねぇ。」
さも驚いたと言わんばかりの胡散臭い台詞を吐いてから入ってきたのは。
「おはよう、ナルトにシカマルくん。」
ナルトは一点を見たまま動かない。そう言えばこいつらライバル同士なんだっけか?と人事みたいに目を細めて、どうしてこう変な連中ばっか寄ってくるのかなぁと頭を抱えながらも自分を呼んだカカシへと視線を移す。
こんなに変な奴らがいるから俺まで変になってるんだ。
毎日毎日、鬱陶しいと思いながらもナルトの相手をしてしまうのも、昨日カカシからの言葉に不覚にも赤くなってしまったのも。だからと言って自分がナルトにカカシに好意を寄せているとは思いたくはないけれど。
「丁度良かったよ、シカマルくん。少し手伝って貰ってもいいかな?」
取りあえず一刻も早くこの重苦しい雰囲気から逃れたくて、搗ち合った瞳に鳥肌が立つのを自覚しながらもちょいちょいっと手招かれるままに、俺は教室を後にしたのだった。
―――――
ホイホイ次はいっちゃんな(´∀`)ケケケw
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