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By 壱子
2010/07/13

届いたメールに了承の意を返して、ついさっき脱ぎ散らかしたスニーカーにもう一度足を突っ込んだ。
アパートから徒歩5分も掛からない公園に走って向かえば、そこには一つだけ影が落ちていて既に待ち人がいること告げる。
メールの文面には話がある、とだけ書かれていて、内容にまで触れることはなく。
いつも学校で会うからか、そういえばメールするのは初めてだと思いながら、その人物が座るベンチへと近づいた。
すれば、じゃりを踏む音に気がついたのか、その人、ヒナタがゆっくりと顔を上げる。

「ナルト、くん」

「待たせたってば?」

「う、ううん…!今、来たところ、だから」

なぜかいつも自分と会うときは可哀相なくらい顔を赤くする彼女にまた風邪でも引いたのかと額に向けて手を伸ばす。
ただこれもいつもの事ながら、触れる前に思い切り引かれてしまって熱があるのかは確かめられないのだ。

「また風邪?」

「え?な、なにが?」

「顔、真っ赤だってば」

「ち、ちがっ。あの…、これは、風邪、じゃない、の…」

「なら、いーけど」

ふるふると勢いよく首を振るヒナタに伸ばしていた手を引っ込めつつ、ドカリと隣に腰を落とした。
隣でヒナタが思い切り肩を跳ねさせていたけれどもまぁ、気にしないことにする。
直接言われたことはないけれど、もしかしたら嫌われているのかも?と思いながらも、気にしたら負けだ。
こうやって二人で会うのは初めてだけれども、嫌いな相手を呼び出さないだろう。
ちらりと彼女を見れば、もじもじと指を揉みながらこちらを伺っているようで、もし悩み事か何かなら自分よりもイノやサクラにすべきだと思ってしまった。
普段の自分ならどうにか力になろうと思える。けども、今は。
今は、自分のことだけで手一杯だ。

「話って?」

「あ、の。うん…。ナルトくんに、聞いてほしくて…」

「わりーけど、悩み事ならサクラちゃんとかの方が」

「違うの!」

「お、おう?」

「違う、の。その…」

俯いたヒナタの表情は今どうなっているのかは分からなかった。
けれど、白くなるほどに強く握られた手がその必死さを物語っているようで、背もたれに預けていた背中を浮かせて、体ごとヒナタと向き合う。
そろそろと顔を上げた彼女の顔は今にも泣きそうで、けれど、何時になく真剣で、綺麗だと思った。

「ナルト、くんが、シカマルくんを好きなのは知ってるの」

「うん…」

「だから、やめとこう、って思って」

「うん」

「でも、無理だったの。ごめんね…」

「ヒナタ…?」

「わた、私、は。…私は、ナルトくんが好きです」

ゆっくりと告げられた言葉はシンと静まった公園によく響いたように思えた。きっと実際はそんなことはなかったのだろう。
けれども、自分にはそれほど衝撃的に思えたのだと思う。
真剣な告白。
好きだと言葉を発して、相手に告げることの重さ。たった一言、そう言われただけだというのに、たくさんの事が心に降り積もる。
いつもなら、きっと。
ありがとうとすぐに笑って、けど、シカマルが好きなんだ!なんて軽く返していただろう。
けれども、真剣という言葉の意味、そして、それがどれ程に重く、大切なものかを知った今、ヒナタの言葉に軽く返すことなどできるはずもなかった。
今にも泣きそうな顔でこちらを見つめるヒナタに一呼吸置いてから向き合う。
同じくらいに、いや、気持ちとしてはそれ以上に真剣な眼差しを浮かべて。もう一度、息を吸う。

「ゴメン。…ありがとう」

「…う、ん」

「俺はシカマルが、」

きゅ、と唇を噛み締めて、もう一度、開く。

「シカマルが好きだってばよ」







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よし。これでどうよ!…ダメ?

次は恵利姉様よ!頑張って(笑)

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