「もう、終わりにしましょう」

いつもより低く、冷たい声で彼は言った。

ああ、終わっちゃうんだ。静かに暴れ出す心臓に反して、冷静に考えている頭に驚く。
今思えば、こうなることも始めからわかりきっていたのかもしれない。もともと彼は私を愛してなどいなかった。彼は優しいから、私の我儘に付き合ってくれていただけ。

「…こんな事を続けても、貴方のためになりません」

私は酷く彼を困らせてしまっていたようだった。俯いているせいで顔を見ることはできないけれど、きっと彼は真っ直ぐに私を見つめている。顔を上げないのはその視線に耐えることが出来ないから。視線を絡めたら最後、私はきっと彼の言葉に頷いてしまう。
別れたくない、なんて言える立場じゃないのはわかってる。でもまだこの空間を手放したくないと思うのは所詮私の我儘だ。

「いや、だよ」

そう言って縋りつくように彼の胸に顔を押し付けた。でも背中に腕が回されることはなくて。初めて感じる体温は、本来なら温かいはずなのに。今はただ冷たくしか感じない。

ふいに腕を優しくつかまれたかと思うと、彼は数歩後ずさる。離れていく体温に、私は視線を泳がせることしかできなかった。

「すみません…」

謝ったりしないでよ。柳生はなにも悪くないのに。
悪いのは私なんだよ。柳生は、なにも悪くないんだよ。


「もう、終わりにしましょう」


再び吐き出された言葉は、視線と共に真っ直ぐ私を突き刺した。
本当に、もう終わりにしなくちゃいけないんだって、わかってるよ。
でも、君は優しいから。もしかしたら、なんて思ってしまう私がいる。

勝手だなんて、わかっているけど。






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だいぶ意味不明ですみません。
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