重なった思い

『ねぇ、怖いんでしょう?10年の月日が。』

☆★☆★

今日もまた雨がふっていた。

久しぶりにあった皆は、変わっていて、得にスクは見た目も中身も変わっていた。

荒々しいのは変わらないが、自分を余り過信しなくなったような気がする。

それと1番気になっているのはマーモン、いないけど、聞かないほうがいいんだと思う、フランが霧の守護者なんだから。

そして、そろそろみんなに話したほうがいいのかなと考えていた時トントンとドアを叩く音が聞こえた。

「はいるぞぉ・・・」

スクが入ってきていつもどうり心配そうな顔で聞いてくる。

感情が上手く出せるようになったのは嬉しい、前は強がってるだけで喜怒哀楽の一部が欠けていたから。

「調子・・・どうだ?」

携帯を取り出し打ち込む。

最初は紙に書いていたのだが、消費がはげしいから、とボスが買ってくれた。

『怪我は大分痛くなくなったよ。もう大丈夫』

にこりと笑ってみせる。

けれども曇ったスクの顔は晴れない。

それはきっと私のせい、私がいつまでも話さないから、10年間どこに行ってたのか、なにをしてたのか、全部。

「無理して話さなくていいぜぇ・・・」

いきなり、思ってたことを言われビックリしてスクをみたまま固まる。

「今、話したほうがいいのかなとか考えてただろぉ?」

エスパーか、それとも読心術でも身につけたのだろうか。

『なんでわかったの?』

「お前のこと考えて生きてきたんだぁ・・・わからねーはずねーだろぉ」

少し、自分の顔が赤くなったのがわかった。

サラリと臭い台詞をはくのはディーノの影響だろうか、それとも歳のせいだろうか。

回された腕とぱさりとかかる長い髪、ふわりと香るシャンプーの匂いと、腕から伝わる温もりは私に10年という月日は関係ないと言ってくれているようだった。

「もぉぜってぇ離さねぇ・・・
好きだぁ。
ずっと俺の隣にいろよぉ・・・ 」

ぎゅっと強くなったその腕に、ほろりと涙が流れた。

「そんなにいやだったかぁ?」

あわあわと焦っているスク。

それを少し笑いを含め抱きしめ返してやればビックリしたように体が固まったスク。

その反応に満足してスクから体を離し、携帯に文字を打ち込む。

『嫌じゃない・・・
大好きだよ。
ずっと、スクを思ってた。
けど、私でいいの?
もう話せないんだよ?』

「話せないとか関係ねぇ・・・
前みたいに、一緒にいてくれぇ・・・」

そう言って、極自然に唇が重なる。

愛してる。だからこそ迷惑をかけたくなかったのに、スクは力になってくれると言った。

甘えてみようか、愛してるからこそ・・・




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