Metempsychosis
in Tales of the Abyss

お茶請けはサンドイッチで。

さて、毎度と何ら変わりないとは言え、一応今の状況を説明すると、再びダアト第四石碑の丘近郊に到着したアルビオールにおいて、今度こそイオンを迎えに行ったルーク達を見送ったリスティアータは、今日も今日とてお留守番中である。

常と違うのは、カンタビレが出掛けないでアルビオールに残っている点ぐらいだろうか。
他にも幾つか理由はありつつ、前回の二の舞を避ける為、といった意識があるのかもしれないとリスティアータは思っている。

しかし、カンタビレがいるからと言って特別に何かをやる訳でもなく、普通に昼食を終えて暫く。
リスティアータはアルビオールの簡易キッチンに立ち、午後のティータイム用にサンドイッチを作っていた。

そして、もうすぐ作り終えようかといった時、

ーーーーーガオオオォォォ…!

聞き覚えのある魔物の鳴き声がアルビオールに響いて、ザワザワと草木が揺れる音が強まる。

その近さにリスティアータは「あら」と目を瞬かせた。

リスティアータに聞こえたのだから、当然2人にも聞こえる訳で、カンタビレが簡易キッチンに姿を現すと同時、ノエルが随分と慌てた様子で潜っていた機関部から出てきた。
余程慌てたのだろう、その頬はオイルで黒く汚れてしまっている。

「あらあら、ノエル。ほっぺが真っ黒よ」
「あ、はい、って、え?あの…え??」

その指摘があまりにも平時ののほほんさを保っている上に、今日のお茶請けだろうサンドイッチ(今日はフルーツサンドだ)を調理する手を止めないリスティアータに、ノエルは「もしかして今の魔物の鳴き声は自分の聞き間違えだったの?」と目を点にする。

その間に調理を終えたリスティアータは、いつの間に準備したのか作った内から数個のサンドイッチを紙で包み、紙袋に入れた。

と、

「私は少しお話をしてくるわね」
「ええ!?」

ケロッと言ったリスティアータに驚いたのはノエル。
前回捕らわれた経験がある場所なだけに、当然と言えば当然の反応だろう。
先程の魔物の声もあるのだから危険だと止めていたノエルは、ふと先程からカンタビレが一言も話さない事に気づいた。

「カ…」

何故止めないのかとノエルがカンタビレに声を掛けようとすると、

しー…っ、と、

人差し指を立てて唇に当てるカンタビレと目が合った。

理由は解らなかったが、直感的に名を呼ぶなと言われたのだと理解して、ノエルは慌てて口を閉じる。

「あの子達(....)なら大丈夫だから、安心していてちょうだいね。お話が終わったらお茶にしましょう」

それまでに、お顔、ちゃんと綺麗にするのよ?と、やっぱりのほほんと言いおいて、半ば呆然としているノエルの頭をぽむぽむと撫でたリスティアータは、サンドイッチの入った紙袋を手にアルビオールを出たのだった。




執筆 20111120




あとがき

久々且つ短めでお送りしました。

だって切り所が微妙だったんですもの(* ´Д`*)=3

次回ではあの子達と久しぶりのご対面です。

因みに、アルビオールに簡易キッチンがあるかどうかは知りません。
あくまで想像(笑)
ただあの爺様達なら造っちゃってそうだし、あればいいな〜って思ったのです。
まぁ簡易なので、オーブンやらの本格的な設備は無いんですが。

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