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図書館で勉強していたら、気付けば日が暮れ始めていた。

「じゃあ、また明日。あ、月野……あのさ。今度また一緒に……」
「先輩、わざわざ送ってくれてありがとうございました。じゃあ、また学校で」

もうこの人はだめだな。内心悟りながら、名残惜しそうに帰っていくその背中に手を振って見送る。
玄関の鍵を開けて家に入った途端、お母さんが眉間にしわを寄せて待っていた。

「莉子、もう7時よ? 勉強を頑張るのはいいことだけど、遅くなるなら連絡くらいしてちょうだい」
「ごめんなさい…夢中になってたらつい忘れちゃって」
「別に怒ってはいないのよ、次のテストも期待してるんだから。あなたにもお兄ちゃんのようにちゃんと立派な大学に進学してもらいたいの。わかるわよね? いい大学に入って、いい会社に就職して、結婚する相手だってちゃんと……」
「わかってる。大丈夫だから」
「それならいいのよ。もうすぐ夕飯の支度ができるから、先に鞄置いてきなさい」

お母さんは昔から、上辺の心配しかしない。気になるのは私のことよりテストの点数。幸運にも勉強は得意だけれど、その代わり私には大きな何かが欠けてしまっているような気がする。
しょうがないでしょ。"私たち"がおかしくなったのはきっとお母さんのせい……そう心の中で毒づきながら階段を上った。


「―――莉子」

部屋のドアノブに手をかけたその時、背後から呼び止める声に一瞬驚いて肩が揺れる。向かいの部屋からお兄ちゃんが顔を覗かせていた。

「さっき下にいた男、誰?」

機嫌の悪さを露骨に含んだ声色で尋ねてくる。また窓から見てたんだ。

「……お兄ちゃんには関係ないよ」

そう答えた瞬間、お兄ちゃんは舌打ちして私の腕を強く引っ張り上げた。勢い良く部屋に引きずり込まれ、バタンと背後のドアが閉まる。

「おっ、お兄ちゃ…! んッんうぅ……!」

突然唇が塞がれた。舌を捻じ込んで言葉まで塞ぎ込まれてしまう。そのままお兄ちゃんは私を床に押し倒し、制服のリボンを引き抜いて、開けた胸元に手を忍ばせた。

「見たことない顔だったけど。彼氏じゃないよね?」
「んんッ…ン、ただの…せんぱ、い……っんッう」
「ふーん? ただの先輩と、こんな時間まで何してたの?」
「っふ…あッ、べん、きょ……っ、教え、て、もら……んッあ…あうッ、んん…ッ!」

乳首をギュッと強く摘ままれて思わず声が洩れ出る。お兄ちゃんが咄嗟にそれをキスで塞ぎ、舌を絡ませて口内をねっとり舐め回した。唾液が絡み合い、離れた唇から糸が伝う。

「勉強……ね。母さんは馬鹿みたいに信じてるようだけど、俺のことまで誤魔化せると思ってる?」

凍りついた視線に見下ろされて背筋に冷たいものが走る。

「こんなに愛してるのに…どうして俺のものにならない? 愛してるのに……」

お兄ちゃんが苦痛に顔を歪め、消え入りそうな声で嘆いた。
繊細な指先が今度は優しく乳首を転がす。耳の中に挿し込まれた舌が這いずり回り、身体の力が抜けていくのがわかる。

「お、にっ…ちゃ……ッんあっはっあ…あふっ」
「あの男の目、間違いなく莉子を狙ってた。勉強なんて俺がいくらでも教えてあげるのに、どうして他の男を頼る? 本当に悪い子だよ……莉子は」

そうやってお兄ちゃんはいつも私のせいにしてこの身体を貪る。私は抵抗するふりをしながら甘んじてそれを受け入れる。
だって本当は、お兄ちゃんがこんなにも私に夢中で、私だけを愛してくれることがたまらなく快感なのだから。
口実ならなんだっていい。ただお兄ちゃんに見せつけるために先輩を利用したの。こうしたらお兄ちゃんに愛されることを私は知ってる。愛されるためなら、なんだってするの。
悪い子には罰を与えて? ねえ……お兄ちゃん。

「へぇ…本当に今日はセックスしてないんだ。莉子の匂いしかしない」
「ん…っ、や……」
「男の匂いがする莉子も、俺なら愛せるけどね……だから莉子も早く俺を愛してよ」

首筋に顔を埋め、そこから下のほうまでチェックするかのようにゆっくりと鼻先で辿っていく。お兄ちゃんの吐息がさっきよりも熱くなっている。下腹部まで到達すると、スカートを捲り上げて下着の上から舌をぐりぐり押しつけた。

「や…ッ、だ…きた、ないっ…お兄、ちゃ…っ、ンッだ、め…」
「これはお仕置きなんだよ。わかるね?」
「んッ、は…ぁぁっんう…あ、ぁ……ッ!」

布越しにクリトリスに吸い付かれ、膣の奥からじわっと熱いものが滲み出る。いつもならすぐに脱がせて直接舐めてくれるのに。挿れてくれるのに。今日はそうしてはこない。

「今……期待しちゃった?」

お兄ちゃんが見透かしたかのように顔を上げて囁く。

「ち、…ちがっ…あッん…」
「莉子は身体のほうが正直だ。そうやって意地を張るところも可愛いけど」

硬くなった芽を指で挟んでコリコリと押し揉まれる。お兄ちゃんの熱い息が吹きかかると余計に染みが広がって、さらに湿っていくのがわかった。

「んッあ…あっんはぁッ…! やっ…やだっぁあっ、あぁッ、っ…もお…やぁっ…アッ、んあっはぁ」
「どうして? すごく気持ちよさそうだよ? パンツの中でクリトリスがひくひくしてる」
「はぁッはぁ、あっん…や…ぁ……っ、これ…やらぁっ…あんッあッ」
「だったら、どうして欲しいの? 言ってごらんよ」

ほら、と促すようにお兄ちゃんは下着を上に引っ張って食い込ませ、浮かび上がった割れ目を爪の先でなぞる。

「いつも、みたい…に、してっ…はぁッはぁ…んっ」
「それじゃわからないよ。いつもみたいって? 中までぐちゃぐちゃに犯されたい? それともまた縛られたい? 一晩中舐めて欲しい? あ、莉子はバイブ突っ込んだまま勉強するのも大好きだよね」
「は…や、く…っ、お兄ちゃんの…っほしい…はぁっはぁ、おに…、ちゃんの…っ挿れてよぉ……っあぁっはッ」

お兄ちゃんが欲しい。お兄ちゃんを感じたい。もっと。もっと―――。

「莉子……嬉しいよ。やっと俺を求めてくれたね? いいよ。いっぱい愛してあげる」

お兄ちゃんは太腿にキスをすると、下着に手をかける。横にずらすと、愛液で濡れた陰部に空気が触れた。
やっと、待ち侘びたお兄ちゃんが挿入ってくる。そう思っていたのに。
お兄ちゃんがふっと微笑んだ直後、体内に入ってきたのは、想像していたお兄ちゃんの感触とは異なるものだった。

「ひッ……! あ゛ぁっああ…っ、なんっで……ッあうっあ…ッ」

ぱっくり開かれた膣肉にバイブが深く捻じ込まれる。

「これはお仕置きだって言ったはずだよ。それに、そろそろ下へ行かないと。母さんが呼びに来ちゃうかも」
「で、も……これ……っ、ん…はあ…っ」
「こんな姿見たら、母さん失望しちゃうね。それもアリかな? 莉子もうんざりしてるでしょ。母さんには」

突き挿さったバイブをお兄ちゃんが出し入れすると、愛液が溢れ滴った。

「んッはぁっ…ら…めッ、おにい、ちゃ…っぁあんっ…」
「冗談だよ。母さんの前では、いい子でいなきゃね。そのためには、ちゃんとバレないようにするんだよ」

バイブが深く挿入されたまま下着を元の位置に戻して、布で蓋をするようにきつく食い込ませる。お兄ちゃんが私の身体を起こすと、バイブが窮屈そうに蠢いた。硬く冷たい感触がお腹を内側から圧迫している。

「お仕置きが終わったら、たっぷり愛してあげるから。……さあ、戻ろうか? 莉子」

  

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