愛しきかな


頭を横にずらすといつも通り四角く切り取られた鬱蒼たる森が、あまり見慣れない白いもので覆われていた。今なお降り続く小さな白い塊は枯れて細くなった茶色い枝に積もり、部屋の窓に当たってはシュン、と溶けて雫になって垂れてゆく。その様は涙が頬を流れるが如く儚げだ。

我が家ヴァリアー邸は雪に包まれていた。

隣に眠るスクアーロを起こさないようにするりと彼の腕から抜けてベッドを降りる。暖房を点けるべく足を着けた床は私の足を凍らさんばかりに冷えている。思わず足を引っ込め、またそろりと着けて暖房を点けに行く。ひんやりとした空気を掻き消す様に静かに暖かな空気を吐き出したそれに頷き、白い世界が顔を覗かせる窓のカーテンを勢い良く閉める。わずかに触れた窓の冷たさとその冷気に身体が震えた。
数多の剣がオブジェの様に飾られた壁の中、1つだけある小さな時計に目をやる。時計が指す時刻は暗殺を始めるにはまだ早い。
暖房を点けたとは言え、まだ冷たい空気が充満している部屋は身体が冷える。寒さに二の腕をさすると、ふいにその動きはベッドから伸びた無骨ながら美しい白に捕まれ、止められた。

「起きたの、スクアーロ」

「…さみぃ」

「暖房点けたから我慢して。ていうかベッドに潜り込んでるのに何言ってんの」

二の腕を掴むスクアーロの手をやんわりと離し、自分の手を握らせる。そのままぐいっとスクアーロに手を引かれ、ベッドの上に倒れ込む。
何も言わないスクアーロはきっと甘えている。
繋いだ手をそのままに、ベッドにスクアーロと同じく潜り込んだ私はそのままスクアーロの胸板に顔を寄せる。

芳しい血の香りが鼻腔をくすぐる。

スクアーロの手が私の腰に回り、ぐっと距離が縮まった。離された手でスクアーロの胸元に触れる。

「すぅ…」

そのまま寝息をたててしまったスクアーロに驚きながら、私ももう一度目を閉じた。




(雪の降る日の)
(甘い夢現)



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書きたかったのとだいぶ違う…(´・ω・`)


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