黒猫のいる世界 | ナノ


▼ 2匹目

「ふーん。ここが]世の通う学校ね」

なーんか小っさ。ヴァリアー邸の方が広いよ、絶対。一人呟いて門をくぐる。周囲から向けられる視線は気にしない。
一日の準備期間を経て今から任務開始。てっきり普通の飛行機で行くのかと思っていたらヴァリアー専用機でジャッポーネまで送られて一人恥ずかしい思いをしたのは記憶に新しい。というか、まぁ昨日の出来事なんだが。
見送りには珍しくボスも来てくれた。良く思う事だが、彼らはどうも僕には過保護だ。そうでなければマンションの最上階ワンフロア全部ぶち抜いて豪邸の様な内装にするとか、たかが一人のために普通しないと思うし、わざわざリムジンで学校の近くまで送ってくれたりとかはしないだろう。

「すいませーん。今日転校予定のシャローナですー」

偽名じゃないのかって?良いよ。どうせわかんないし。

「お前がシャローナ=キースか。今日からお前の担任の小林だ。クラスは2−A。ついて来い」
「・・・はい」

うっわ、かなりうざいなこの人。ボクに指図するとか本当にいい度胸してるよね。任務中じゃなかったら確実に殺ってるよ。まぁ、ベルなら任務中だろうが無かろうが殺っちゃいそうだけどね。
しばらく歩いてたどり着いたそこ。ザワザワと声が聞こえる。あぁ・・・なんて耳障りな声なんだ。

「呼んだら入ってこい」

ボクの返事も聞かずにさっさと教室の中に入った教師。空いたままの扉から声が漏れている。「転校生!?」「女!?男!?」「可愛いですか!?」等々。くだらない問答がしばらく続いた後、ボクの名が呼ばれる。
ハタ、と教壇に立ちカス共の顔を眺める。するとすぐに見つかる]世とあのターゲット。

「イタリアから来た。シャローナ=キース。Prepari; e lei(覚悟しな、カス共)」

通じたのは]世が反応する。奴の右腕も確かイタリア語は分かるはずだと思いながら視線をやれば、どうも寝ているらしい。・・・コイツ本当に右腕かよ。レヴィの方が断然役に立つぞ。
馬鹿な女を見れば何やら瞳をぎらつかせてこっちを見ている。そいつにも、ほかの一般人にもイタリア語は通じていないからおそらくただの挨拶か何かと勘違いしてくれるだろう。無知ってこわーい。


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