黒猫のいる世界 | ナノ


▼ 3匹目

腕時計を見ればここへきて10分が経っていることを示していた。屋上から得る景色は無駄に青く、僕をさらに苛つかせた。
三時限目が終わって、連れてきていた数人の部下に監視カメラの取り付け場所を指示し、教室へ戻ると机の上に一枚のメモが置かれたいた。開けてみれば”昼休み屋上に”なんてベタな呼び出し文句が丸っこい字で書かれていた。どうせ姫崎だろうと仕方なく屋上に来てやってみれば、当の本人の姿は見当たらない。呼び出しておいてなんなんだあいつは。頭湧いてんじゃねぇのか。あの雌豚、ターゲットじゃなかったら出会った瞬間殺ってるぞ。

ギッ・・・

「ご、ごめんね!待ったぁ?キースさん」
「遅いよ。ボクを待たせるとはいい度胸じゃないか」

屋上の重い扉を押しあけて入って来たのはやはり姫崎で。不快感に文句を言ってやれば可愛い仮面はどこかに落としてきたのか、汚らしい顔をさらに汚らしくして言って来た。

「朝もそうだけど、有莉に向かってなんて口きいてんのよ!?あんたなんかより有莉の方が優れてるんだから敬いなさいよ!!」
「あ?敬う?なんで僕が豚みたいなやつを打止まなくちゃいけないわけ?」
「ぶっ・・・!!
良いわ・・・!話し合いで解決してあげようと思ったけど、話し合う余地は無いわね。アハハッ!せいぜい苦しむがいいわ!!」

バッ、と姫崎がスカートのポケットから取り出したのはカッターナイフ。サクッとこ気味良い音を立てて姫崎の腕に刺さるそれ。別にそうしてほしいならそうしてあげるのにね。それはもうぐちゃぐちゃに。

「くたばりなさいシャローナ=キース!!

キャアァアァ!や、やめてキースさんっ!!

うわ、フルネームで呼ばれた。鳥肌立ったし。
屋上の扉付近に設置された監視カメラの赤い点滅を見て誰が来てもいいように準備する。姫崎が使ったカッターナイフは今はボクの足元にある。目の前では嘘泣き崩れている姫崎。屋上に入ってきた誰もが、僕が姫崎を傷つけたのだと勘違いするだろう。まぁ、別にそんなことはどうでも良いが。成程。]世も大変な訳だ。笹川京子も黒川花もこれと同じ目にあったと書いてあった。クラス内の立ち回りは上手いみたいだからこの事実を知るのは]世と被害にあった人物だけだろう。犯行に及んだ理由はものすごくくだらないこと。自分の未来の旦那の隣の席に、ぱっと出の僕が座ったから。とかそんな理由だろう。あとはボクの他人を見下した言動。]世と結婚してマフィア界のファーストレディになるのが目標と書いてあったがいやはや。案外本気みたいだな。


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