並盛名物というかなんというかの彼は、噂だけで人を震え上がらせるだけの経歴を早くも中学生で手に入れている。
逆らえば棒状の武器で容赦なく殴り、彼の前を集団で通ればそこには重傷を負った人の山が。
国家機関をも掌で転がすと噂の人間に、近寄りたいなど微塵も思わない。


だからというわけだけではないが、葉月は大人しく校則を守り、漫画や小説、ドラマのような学生生活は望まず無難に過ごしてきた。
きたはずだったのだが。


もう一度、ギュッと紙の束を握る。
今日配られた授業やホームルームのプリント。
これを雲雀に届ける事が、委員長としての初めての仕事だった。


だが、どれほど後悔しても応接室は近付いて来る。
ましてやこの仕事を達成しなければ、待っているのは担任の屍か自身の屍か。


もう一度溜息をついたところで、可愛らしい声が廊下に響き渡った。


「そんなにヒバリに会いたくねぇのか?」


「え?」


声のした方を向くと、ソフト・ハットを被った小さな男の子がこちらを見上げている。
お洒落にスーツを着て、まるで一流の青年のような格好だ。





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