先輩の話を遮ったのは店長だった。
やけに慌てている。
というか、顔が青ざめていた。
「どうしたんですか?」
店長に着いて行くと、その視線の先、店の入口にあるはずのないシルエットがあった。
──しかも、二つも。
シルエットがこちらに振り返ると、店内が一瞬、ざわりとざわつき、今度は打って変わってシンと静まりかえる。
その二人の視線に同時に射ぬかれ、私もびくりと身体が震えた。
「こんな所にいたんだね」
「こんにちは、葉月さん」
並盛で彼を知らない人はいない、風紀財団のボス様と。
彼と犬猿の仲であり、イタリアマフィアの仲間でもある男。
雲雀恭弥と六道骸、その人であった。
確か噂によれば彼等は当分イタリアから帰国する予定はなかったはず。
それが何故日本に、しかも並盛にいるのか。
しかも、二人揃って。
明らかにヤバいという感覚が押し寄せて来る。
「こ、こんにちは。……店内でお召し上がりですか?」
思わず馬鹿な事を口走ってしまい。
慌てて“すみません”と伝える前に、優しく甘い声が聞こえた。
「はい。二人、お願いします」