二つを見れば、報酬という名の料理は、彼女の父親からの入れ知恵だと直ぐに理解出来る。
父親ならばもう少し巧妙にするであろうそれも、ボス体験初日の少女には厳しかったに違いない。
バレバレの工作に雲雀は、呆れを通り越して感動さえ覚えた。


雲雀の知る彼女の父親は、勘の働く、実に狡賢い男であった。
ボンゴレ十代目の足元にも及ばないものの、その人当たりの良さそうな外見からは想像も付かない黒い頭脳は、まさに内に秘めた獣そのもので血筋でなければそうもいかないであろうほど、場慣れしている。


だがこの少女はどうだ。
父親の正反対をいきそうな、純粋で無垢で素直な性格。
加えて真面目な所を見ると“初恋なんてまだです”と言い出しそうな箱入り娘だ。


彼の娘に対する溺愛ぶりが想像出来て、雲雀は無意識に更に眉間に皺を寄せた。


ところが葉月からすれば、自身の返答が気に食わなかったのかと彼の反応にビクビクと怯えてしまう。


「あの、良ければお風呂も湧いてますから……」





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