「ところでさ」


相変わらず、家庭科室の窓の向こう側にいる芥川君。


「何でいつも、家庭科室の前で寝てるの?」


日当たりが良くて、先生にバレない所はもっとあるのに。
不思議。


「それは、やっぱり……」


フワッと甘いクッキーのような匂いが私を包み込む。
気付けば彼に頭を撫でられていた。
……いつもとは逆の仕草に照れを隠せない。


「他の誰にもあげたくないからだCー」


言われた事を理解するまでに時間がかかりそう。
だって、変な勘違いしてしまいそうだよ。


でも、少しだけ自惚れてみて……。


顔を上げれば、可愛い笑顔には少し赤い顔。
決して陽の光のせいじゃなく。


「え、それって……」
「ジロー!!」


私の言葉を遮るように、遠くから男の子の声がした。


「部活が始まるCー」


そう言って走って行ってしまう。


「あっ」と無意識に出た声に反応するように、芥川君がこちらに振り返った。















庭球より。
昔、アンケート投票で人気だったので、書こうかなって考えていたジローちゃんの話。
ふわふわな彼も好きですが、ちょっと意地悪な顔も好き。




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