(学級委員長シリーズ)
「君に選択肢をあげる」
珍しい事もあるものだ。
中学校から雲雀さんと関わって生きてきたけれど、彼が私に何かを選ばせてくれることなんてなかったから。
例えばそれは、食事だったり、待ち合わせ時間、なんていう些細な事から、人生の重大な分岐点──俗にいう進路まで。
とにかく全て、私が決めるより先に絶対権力が立ち塞がっていた。
人生を決められたレールに乗って走りたくない、なんて我が儘が通らない位に。
百歩譲って、雲雀さんが私の恋人や婚約者ならまだ許せるかもしれないけれど。
私と彼の関係はそんな甘いモノではなくて。
私は雲雀さんの部下──いや、奴隷といってもあながち間違いではない。
要は雑用係なのだ。
「選択肢って何のですか?」
「将来のさ」
びっくりだ。
ここまで無理矢理連れ回したくせに、今更何を。
何を選択すれば良いのだろう。
だって悲しいかな私は、今まで雲雀さんにしか関わってこなかったから、世間一般なんて分からない。
「簡単な選択だよ」
困惑する私とは対象的に、実に楽しそうに雲雀さんは言葉を続けた。
「僕の妻になるか、僕の子を孕むか、どっちが良い?」
……………。
えぇぇぇぇーーーー!!!
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