例えば目が覚めて、そこに見覚えがなかったら。
例えば目が覚めて、そこに違和感があったら。
例えば目が覚めて、明らかに信じられない事実が突き付けられたら──


「それは僕に対する反抗かい?」


「とんでもないことでございます」


例えば目が覚めて、次元の違う世界に居たなら。
例えば目が覚めて──雲雀恭弥が目の前に居たなら?


それが、大好きなキャラクターだったら。


正しい日本語で返した答えに、彼は淡く微笑む。
その尋常じゃない綺麗な白い手で、私の頬を撫でて。


こんな“雲雀恭弥”を私は知らない。
壊れ物を触るように優しく添えられる手を、知らない。
少なくとも公式的な意味では。


「ねえ、名前を教えなよ」


孤高の人は、アニメでも聴いたことのない甘い声で、そう、言った。


──あぁ、早くこの質の悪い夢から覚めて。


目が覚めたら、夢だと言える内に。
貴方に本気で落ちてしまう前に。


「……逃がさないからね、葉月?」





お題拝借:森blog 様




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -