「おいで、ご飯だよ」
短い足で一生懸命移動した先にあったのは、小さな器に入った鳥の餌だった。
──どうしよう。
あからさまに“鳥の餌”だと分かるそれは、例えばトウモロコシを乾燥させた物だったり、謎の胡麻のような粉末だったりが混ぜ合わさっている。
幼稚園や小学校で見たインコの餌みたいなそれに、正直、食欲はわかない。
寧ろ、食べたくない。
横をちらりと盗み見れば、ヒバードが美味しそうに餌を突いている。
それはもう、人間が寿司かステーキを食べる勢いで。
『お、美味しい?』
「オイシイ、オイシイ!」
思わず当たり前のことを聞けば、ヒバードはくりくりの瞳をこちらに向けて、わざわざ日本語で答えてくれた。
ヒバードの分が入っていた器は、もう完食してしまったらしく、殆ど中身が残っていない。
ぺろりと自身の分を平らげたヒバードを見て私は、
『私の分も食べていいよ』
と提案した。
残しても雲雀さんに失礼だし、一食くらい抜いても、ダイエットだと思えば何とかなるだろう。
流石に鳥の餌を口に入れるのは、人として躊躇われる。
──今は、鳥、だけれど。