あれから散々身体を確認されたけれど、怪我や傷などは見付けられなかった。
何処も悪いわけではないので、当然なのだが。
“飛べない鳥”もしくは“飛行が苦手な鳥”と認識されたらしい私は、今、執務机の上にいて。
雲雀さんの仕事姿をぼんやりと眺めている。
真面目に資料に向かう姿は、学生なのに随分大人びていた。
万年筆をたまにくるくる回す姿や、頬杖をつく姿。
口角が上がったり、眉間に皺が寄ったり。
普段きっと誰も見ないそんな姿に、ちょっとだけドキドキしながら、けれど身体はリラックスしていった。
ヒバードは何時の間にやら窓の桟で、夕日をバックにうたた寝をしている。
涼しい風が彼の黄色くてふわふわの毛を靡かせていた。
外からは部活に励む生徒の声が聞こえてくる。
多分野球部なんだろうと検討を付けるが、それが本当に野球部かどうかは分からない。
なにせ確認をしたくとも、窓まで飛べないし、野球に詳しいわけでもないから。
ふと、風紀の資料に目を戻すと、そこには不思議な誤字が見えた。
“──の結果、並盛ビルに臨接する──”