──何でこんなことになったんだろう?
何時も通り、雲雀さんが見回りに行く時間を狙ってプリントを届けるために応接室を訪れた。
今日も運良く決まった時間に校内見回りに行ったらしい雲雀さんは、勿論そこにいずに。
代わりにいたのは黄色いふわふわとした鳥。
ヒバードだった。
普段は雲雀さんにべったりで、あまり関わることのない鳥。
小さい身体にくりくりの黒目と、手入れの行き届いたもこもこの毛。
触ってみたいと密かに思っているのは、多分私だけではないだろう。
幸にも今此処に雲雀さんはいない。
ヒバードのいる執務机に近付くと、流石動物だ。
直ぐに足音と気配に気付いたらしく、こちらにそのつぶらな瞳を向けてきた。
逃げてしまうかもしれないと一瞬、ドキッとしたが、ヒバードは私が知るより何倍も賢い鳥らしい。
「ハヅキ、ハヅキ」と私の名前を呼ぶと、執務机から私の差し出した掌に移動して来てくれたのだ。
「あっ、可愛い」
丁度、掌の中に収まる小ささ。
黄色の塊は、そこにぽふりと着地すると、まるで狙っているかのように掌にすりすりと身体を擦り付けてきた。