さてさて、どうなることやら。
跡部クンから、不本意とはいえ、宣戦布告紛いの“守るぜ”宣言をされてから早数時間。
彼の放送と忠告は全く役に立っていないと言うか何と言うか。
何故なら今、私は女子トイレから出られない状況にあった。
「……開かない」
いや、私だって人間だからトイレくらい行くよ?
いくら漫画の世界だといっても、生理現象は抑えられないよ?
でも、入る時に開いたドアが開かないって可笑しいでしょ?
漫画の世界とか異世界だからとか関係なく。
しかも気のせいか、女の子達のクスクス笑いが聞こえてくる。
──気のせいじゃないんだけどね。
「あの、いい加減開けてくれない?」
「アンタが放送の“楓原綾”でしょ?」
「そうよ。でも、こっちはアナタ達から何か恨みを買った思い出はないんだけど?」
「あら残念。こっちにはそれ相応の思い出があるのよ」
私は、暫し無言で考えた。
男子テニス部員ではない彼女達に何かしただろうか?
話の内容から察するに、クラスメイトでもないよう。