「委員長、はい、バレンタインチョコです」
「ワォ、君、わざわざ校則破るつもりかい?」
ニヤリ。
まさかこの私が、自ら校則を破る等、馬鹿げたバレンタインを演出するわけがない。
「そう思ってチョコバナナにしました!バナナはギリでお弁当のオカズでしょう!」
我ながら、良案だ。
最近ではバナナケースなんていうバナナ専用の入れ物もあるし。
バナナ最高、だ!
「ふーん、葉月にしてはマシな案だね」
パカッと委員長に渡したバナナケースから取り出されたのは、チョコレートコーティングされた勿論バナナ。
完璧過ぎるカーブを描き、堂々とその存在感をアピールしている、バナナ。
「ちなみにチョコレートはビターです、どうぞ、溶けない内に食べてください」
委員長は目をぱちぱちと数回上下させ、暖房のせいかほんのりピンク色の頬でバナナをゆっくりと……
口に含んだ!
「はい、ストップ!そのまま動かないでください!!」
「は?」
「あー、理由は後で!」
急いで携帯電話を取り出すと、カメラモードに切り替え、カメラ連写モードで撮影スタート!