「あら、ノボリじゃない!」
ポケモンセンターで何時も通りコーヒーを口にしていると、突如後ろからかけられた声に、振り向くより先にガラス越しに相手を確認した。
声だけで予想が出来ていた相手は、ノボリがガラス越しに自身を確認しているのを知って、軽く手を振る。
「カミツレ様」
イッシュ全土のアイドルモデルであり、ライモンシティのジムリーダーでもあるカミツレその人だった。
「貴方が地下から出て来るなんて珍しいわね!ドリュウズも太陽が恋しいのかしら?」
「貴女様はまた」
はあ、と分かりやすく溜息をつく。
それをカミツレは理解していつつノボリの隣に腰を下ろした。
ノボリとカミツレ。
お互いの背負う肩書きは本人達がそのつもりがなくとも花形で。
世間が憧れるに充分過ぎる程の人生を歩んでいる。
そしてそれはプライベートとという時間を過ごすには、弊害がある程でもあった。
「“彼等”を煽るのは感心いたしません」
「いいじゃない。それとも、見られたくない“誰か”がいるのかしら?」