ぽかん。
寝耳に水、とはまさにこのことか。


いや確かに、見知らぬ街中を勝手に歩くのは危険だとか、迷子になると迷惑だとかは言われた気がする。
しかしだからといって、それが“家まで送る”に繋がるとは到底思えない。
その証拠に一緒に研修に来ている仲間(男)は、歩いて帰ると言っていた。
だって徒歩三十分圏内だし。


「文句でもありますか?」


そのノボリボスに似ている顔から、ノボリボスは絶対しないような狂気的な視線で射貫かれると「いいえ!お願いします!」と、簡単に返事が出た。


事実、似ているのはぱっと見の外見だけであって、灰色の髪色のノボリボスと違い、金髪碧眼でその視線の鋭さは倍以上。
その全身で“ワタクシがルールでございます。ドS?鬼畜?なにか文句ありますか?”と性格を表現している。
うわマジ関わりたくない。


が、悲しい習性かな。
私の手は助手席のドアを開け、私の顔は笑顔で「よろしくお願いします」と伝えた。















予想通りの煙草臭い車、かと思いきや、車内はほんのり爽やかなコロンの匂いがするくらいで、灰皿らしき物も見当たらない。
飾り気のないシンプルな車。
歌詞の聞き取れない静かな曲。




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