有利に殴られた頬はまだジンジンとしている。
ヴォルテール城に戻り、報告と死亡確認をしたのち、三人の大シマロン兵の死体は丁寧に納骨された。
その全工程を終えたことを、グウェンダルに報告する。
「そうか。ある程度、こちらで区切りが付いたら連絡をする。それまでは注意を怠らず護衛に付いてくれ」
「畏まりました」
一礼すると、グウェンダルの執務室を後にした。
互いに言わずもがな。
事件がまだ“煙たい”事を認識して。
その足で血盟城まで舞い戻ったリーヴェは正直な所、かなり体力を消耗していた。
一日で血盟城とヴォルテール城を二度往復するなど、通常の者では考えもしない速さと労力である。
そのせいか、リーヴェでさえも、出来ればこのまま休憩時間に入ってほしかった。
しかし、そうは問屋が降ろさないようである。