リーヴェが魔王陛下の護衛に付いて数日が経った。
有利は今日も執務室で資料にサインを記入している。


「だあぁ、もう駄目だ!手が痛い。限界だよ。ちょっと休憩させてくれ」


ペンを放り出して手足首の運動のように、両手を繋ぎ、手首をぐるぐる回す。
と、同時に指にペンダコが見られ、有利は思わずそれに感心した。
勉強が得意な兄と違い、ペンダコが出来るほど勉強など普段したりしない彼からすれば、ペンダコは随分程遠い世界のモノだったから。


そんな魔王陛下に、コンラートは馴れたことだといわんばかりに笑顔を振りまいている。


──そういうと思った。


まるで、そう意味深に伝えるようで。


「あとこれだけ済ませたら少し城下に行ってみましょうか?」


有利に尻尾が付いていたなら、きっとちぎれるくらい振っていただろう。
キラキラとコンラートの言葉に目を輝かせる。


「絶対だからな!」


彼の言葉に俄然やる気を出したのか、物凄い勢いでペンを動かし始めた。
だがそれもつかの間、疑問に思っていたことを思い出し、直ぐに手を止めた。



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