翌日。
血盟城は荒れていた。
アーダルベルトからの、いや、大シマロンからの直接依頼にも似た任務を任されたこと。
その実行日が今日であること。
そして、そこに書かれていた内容が、実に細かく入り組んでいたこと。
何を取っても、大シマロンからの嫌がらせかと思える概要に、グウェンダルとギュンターは今にも崩壊しそうな理性を必死で押さえていた。
百二十歳越えという、大人のプライドで。
「では、本日の予定について説明します」
そう言うと乱れた濃い灰色の長い髪を手櫛で軽く撫で付け、ギュンターはそこに座る全員に見直った。
「既に伝わっているかとは思いますが、今夜、此処血盟城の広間にて懇親会を開くことになりました」
アーダルベルトからの依頼書には、今日の日付で行われる血盟城でのダンスパーティーに、例の反乱軍を招く手筈になっている。
相手の名は聞いたこともないことから、やはり、一部の過激派であることが容易に理解出来た。
大規模のダンスパーティー。
何故、このように危険極まりない場を作ることになったのか。
場合によっては負傷者だけでは済まない事態になりそうだが。