グウェンダルがリーヴェを呼んでなどいないと、直ぐに分かるような嘘だった。
あの場からリーヴェを遠ざけるための、ただの言い訳。
ヨザックの優しさが、リーヴェの心には痛かった。
無意識にリーヴェが訪れたのは、運命を別けたあの丘の上。
あの頃と変わらない、いや、木が成長しただけのそこ。
その木の成長に少し驚きながら、ドサリと見目も気にせず腰を下ろした。
自嘲の溜息がこぼれる。
──時間は経ったのに、私は何も成長していない。
木を見れば、あの頃からどれだけの時間が経ったのか一目瞭然だった。
長い時間が流れたはずだ。
けれど、それだけの時間をかけてもリーヴェの心は未だ癒えていない。
それは、リーヴェにも予想外だった。
──こんなはずではなかった。
こんな未来を望んでアーダルベルトの誘いを断ったわけではなかった!
「ッ!!」
くしゃりと、朱色の髪を握る。
──誰か、私を……。
ふいに頭に浮かんだ言葉と共に、ぽたりと涙が頬を伝った。
すると身体が勝手に震え始める。
「えっ?」
突然の自身の現象にリーヴェは驚いた。