最近、湘北高校の体育館に黒猫が住み着いた。


漆黒の毛に同色の瞳がキリリとしていて。
よっぽどの相手でなければ、触らせたりしない生意気ぶり。


そんなクールな性格から、彼は“ルカワ”と、三井、宮城、花道から命名された。















「ぬ」


「あ、流川君。お疲れ様」


練習が休憩に入り、顔を洗いに流川が出て来ると、丁度体育館の出入口に座り込む葉月と鉢合わせた。


ニッコリと可愛らしく笑う葉月。
とてもではないが、花道と血が繋がっている妹とは思えない。


何故、彼女がそんな所に座り込んでいるのか。
ちらりと手の伸びる先を見て、流川は納得した。


その白く細い腕と指は、葉月の横に悠々と座る、黒猫ルカワの顎の下を撫でていたのだ。
ルカワも気持ち良いらしく、とろんと蕩けるように目を閉じている。
ご満悦らしい。


「さっきのシュート、凄かったね!スリーポイントだっけ?」


流川は、休憩直前に決めたスリーポイントシュートを思い出して、こくりと頷く。
確かにそれは、宮城と三井を抜いて決めた一本だった。


「スリーポイント、スキなのか?」



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