「眞魔国って、女性は強い人がモテるのかな?」
お昼のティータイムに用意されたクッキーを食べながら、ふと中庭でアニシナに追われているグウェンダルを見て。
小さく有利がそう零した。
──まあ、確かに。
いつだったか、ギュンターがそんなことを言っていた。
“あなたがた兄弟三人とも、過去の恋愛遍歴をひもとけば、気の強い相手ばかりと恋に落ちていましたね”
と。
それで最終的に有利にメロメロなのだから、眞魔国の好みとは恐ろしい。
いや、眞魔国全体と考えるには失礼かもしれないが少なくとも血盟城内は。
ヨザックのストライクゾーンど真ん中の、アニシナしかり。
ダカスコスの愛しの奥様、アンブリンしかり。
ツェリにしたって自由奔放とはいえとても気が弱いと言える部類ではない。
──でも、それって“気が強い”というより“意思が強い”のような。
そこでふと、葉月は自身を振り返る。
過大評価でもなんでもなく、確かにその部類に自身が入るという事実を。
溜息を隠すように、ヨザックによって好みに入れられた紅茶に口を付けた。